ライフライン、と聞いたときに私たちは何を思い浮かべるだろう。電気、ガス、水道、交通、そして電話やインターネットなどの通信設備が思い当たるのではないだろうか。2016年に熊本地震が発生したときにはNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクが各社の公衆無線Wi-Fiを無料で開放し、災害時のコミュニケーション手段として重要な役割を果たした。
災害時に限定せず、常日頃から国民がインターネットにアクセスする権利を法律で定めた国がフィンランドだ。フィンランドは2010年から、全国民に対して少なくとも1Mbpsの通信速度を持つインターネット回線を提供することを法律で定めている。
当時フィンランドでは全人口の96%がすでにインターネットにアクセスできていると見られており、残り4,000世帯ほどに対応すれば法律が無事全員に適応される状況だった。そのため法律を施行するハードルは高くなかったのかもしれないが、それでもこの政策は世界的に見て異例だ。2017年現在でも、インターネットに繋がる権利を法的に認めている国は他にない。
似たような取り組みに挑戦している国なら存在する。例えばイギリス政府は2012年までに少なくとも2Mbpsの通信速度を持つインターネット回線を普及させると合意したことがあったが、これは法的な拘束力を伴うものではなかった。また国際連合やEUでも同様の取り組みは検討されたものの、未だ決定には至っていない。
セキュリティや安全性の観点から、誰もが自由にネット環境にアクセスできてしまう状況に対する懸念もあるだろう。国がインターネットの検閲や規制を行っている場合もあるほどだ。しかし今やライフライン、すなわち生命線のひとつとなっているインターネットに制限をかけるのは慎重になるべきだ。日本政府がツイッターを規制か?という話が最近あったが、危険の芽を摘むために規制をしても、その危険が別の場所に潜っていくだけではないだろうか。
【参照サイト】This One Fact About Finland Will Alter Your Perception of the Internet
【参照サイト】熊本地震で携帯3キャリアが公衆Wi-Fi開放–統一SSID 「00000JAPAN」とは?
【参照サイト】Finland makes broadband a ‘legal right’
【参照サイト】政府、ツイッター規制検討=座間9遺体事件で年内に再発防止策