枯渇する可能性のある石油や石炭などの化石燃料に、事故リスクのある原子力。どちらも人類が使うほとんどのエネルギーをまかなってきたが、これからは安全で持続可能なエネルギーに切り替えていくことが大切だと再三言われている。
よく聞くのは太陽エネルギーだ。現在ドイツやオランダなど西ヨーロッパの環境先進国が推し進めているが、たとえば陽がカンカンに照りつけるアフリカで太陽光発電が活発化したらどうだろうか。近年アフリカ各国で太陽エネルギーの導入は行われているものの、パネル設置や維持のための莫大なコストがかかるため、ビジネスはほとんど潤沢な資金をもつ行政や企業に制限されており、一般の人々に浸透しているとは言いがたい状況だ。
そんなビジネスを個人レベルで可能にするために立ち上がったのが、南アフリカ共和国発のICOプロジェクト「The Sun Exchange」だ。クラウドファンディングのように、誰でもソーラーパネルを購入することでプロジェクトに投資できる。
ソーラーパネルは、アフリカ南部を中心に設置される予定だ。ソーラーパネルが売り切れて自分が出資したプロジェクトが達成されると、配当金はもちろん、出資したぶんのパネルの設置場所を決めたり、希望があれば実際に訪問したりすることが可能になる。
注目すべきはその購入方法だ。ひとつは、南アフリカランド(ZAR)または仮想通貨のビットコインで支払うことができること。国際送金でかかるはずの時間や手数料は、ビットコインという共通の通貨を活用することで省くことができる。
そしてもうひとつは、今まで莫大なコストをかけて大量に買うものであったソーラーパネルを、1枚からでも購入可能だということだ。これにより、個人が気負わずに最小単位で投資がしやすくなる。万が一プロジェクトが達成されなかった場合でも全額返金されるため、投資者にとってのリスクは少ない。
アフリカで大量の太陽光エネルギーの発電が見込めるということは、アフリカ自体の発展につながるだけでなく、将来的には持続可能で豊かな世界につながることになるだろう。「アフリカにはすでにテクノロジー、ポテンシャル、そして情熱がある。欠けているのは金融インフラだ。」そう語るのは、The Sun Exchange代表のエイブラハム・ケンブリッジ(Abraham Cambridge)氏だ。
The Sun Exchangeではすでに4つのプロジェクトが達成されており、現在は南アフリカに囲まれたレソトで小規模なエネルギー・ネットワークを作る「100 KW Solar Micro-grid」プロジェクトが進行中だ。
南アフリカ政府は、将来的に電力需要の約2割を太陽光をはじめとする再生可能エネルギーにより賄うという目標を設定している。このプロジェクトが広まることで、人々にソーラーパネルを購入するという選択肢が浸透していくことを願う。
【参照サイト】The Sun Exchange