自分の子どもには、他者に手を差し伸べることのできる心優しい人に育ってほしい。そう願う親は少なくないはずだ。困っている人を見たら施しをし、多くの人の幸せを願えるような人には誰だって魅力を感じる。
しかし、問題はどうしたらそのような思いやりのある人に育つかということである。親は子どもをコントロールすることはできないが、同い年くらいの恵まれない子どもの存在を伝え、家で一緒に話し合うことならきっとできる。まさにそんな親子間のコミュニケーションのきっかけとなるサービスが、アメリカで誕生した。子どもが子どもに寄付をするためのプラットフォーム「Daymaker」だ。
Daymakerの使い方はシンプルだ。サイト上に載ったたくさんの困っている子どものウィッシュリストをチェックして、その中から届けたいものを選んで寄付をするだけ。たった数回のクリックだけで、この世界にある多くの不幸を取り除くことができるのだ。
ウィッシュリストはDaymakerが選んだ信頼のおける現地のNPOが作成しており、支援が見える形で届くため透明度は高い。そして、ひとつひとつのものが「なぜ」必要なのかという背景が説明してあることが特徴だ。それを読むことで、世界には鉛筆などの筆記用具が買えないから学校に行けない子どもがいることや、貧しい家庭で育ち誕生日に誰からもプレゼントをもらったことがない子どもがいることを知ることができる。
寄付の種類は「復学支援」や「誕生日」といった複数のカテゴリで分類されている。たとえば「プエルトリコ」というカテゴリーは、まさに今年の9月に起こった大規模な台風の被災地への支援だ。ニュースで報じられている不幸な災害に対して自分は何ができるかを考え、実際に寄付をして問題解決に取り組むという一連のプロセスによって、子どもが人を助けることとは何かを学んでいく。
寄付と聞くと、どうしても裕福な大人が十分な資金源の中でやるものだというイメージを持たれがちだ。しかし、Daymakerでは1米ドルという小額からでも寄付が可能だからこそ、子どもでも支援ができる。そして英語の「Make my day」という表現の通り、気軽に誰かの1日を最高のものにできる。人を助けるために歳を重ねていたり、たくさんお金を稼いでいる必要はないのだ。
誰でも使いやすく信頼の置けるシステムはもちろんだが、なにより「自分の子どもの教育に良い寄付」という謳い文句は非常に優れた見せ方だ。日本でも寄付をすることで子どもが広い世界を知ったり、自己肯定感を高めるきっかけになるのなら、寄付文化も普及していくかもしれない。