私たちはいま、パソコン、テレビ、タブレット、携帯電話など、あらゆる電気製品に囲まれて生活している。しかし、廃棄される電気製品が他の製品にリサイクルされる確率はわずか12.5%だということはあまり注目されていない。実は電気製品の部品には金や銀などの貴金属が多く含まれているため、電気製品をリサイクルせずに捨てることは、宝を捨てていることと同じだ。アメリカでは不要になった電話の部品だけで、毎年6000万米ドルもの価値をもつ金と銀が捨てられているという。
これに注目したのがアメリカのテクノロジー企業Dellと女優ニッキー・リード(Nikki Reed)氏だ。Dellは、ニッキ―氏の経営するジュエリー会社Bayou with Loveと共同で、パソコンのマザーボードに含まれる金をリサイクルして作る宝石コレクション「The Circular Collection」を発表した。Dellの副社長は、こう語る。「製品を作るための材料の調達と改革は、ますます重要になる。地球上にある1トンの鉱物よりもマザーボード1トンの方が800倍も金を多く含んでいる、という事実に着目してできたのがこのコレクションだ。」
The Circular Collectionでは、 Dellのリサイクルプログラムから再生した金を材料に指輪やイヤリングなどのアクセサリーを生成する。リサイクルによる持続可能なデザイン、そして購入による経済循環の価値を、ジュエリーという目に見える美しい形で表現した。さらに、Dellの金の再生プロセスは、伝統的な方法で採掘する方法よりも環境への負担が99%低い。
Dellはこれまで10年以上、持続型の材料についての取り組みを行っており、2012年から現在まで約2270キロ以上の使用済み電気製品を新製品に再利用してきた。そして2020年までには2倍となる4540キロをリサイクルすることを目標としている。
さらには今春発売される新しいパソコン「Latitude 5285 2-in-1s」数百万台のマザーボードにも使用済み電気製品からリサイクルされた金を使用するという、業界として初めての試みも発表した。ニッキ―氏とのコラボレーションは、ゴミから価値ある製品を作り出すDellのこれまでの努力から生まれたものだ。
ニッキ―氏はこう語る。「美しい物もリサイクルされた材料から作ることができる。Dellと共に、一度ゴミとして捨てられた金をリサイクルすることで資源を再利用し、廃棄物ゼロに向けた環境を作っていく。」The Circular Collectionのジュエリーは78米ドルからで、ニッキ―氏の運営するBaYouwithLove.comで販売が始まっている。
不要になったコンピュータを金のジュエリーにリサイクルする、Dellとニッキ―氏の The Circular Collection。無機的な機械のゴミと美しい宝石という対照的なものを、両社のこれまでの努力とアイデアで上手に結びつけた宝物だ。
【参照サイト】Nikki Reed and Dell Turn E-Waste into New Treasures with Recycled Gold Jewelry Collection
【参照サイト】Bayou With Love