海の上に大規模な浮体式太陽光発電所を建設する世界初のプロジェクト「Solar-at-Sea」が、オランダでスタートした。その広さは約2,500平米であり、東京ドーム25個分だ。オランダ国内の6つの企業と研究所が3年間共同で建設および運営を行う同発電所の建設予定場所は、オランダ第3の都市デン・ハーグから15㎞の沖合である。
海上は波があるため発電量が不安定だという指摘もあり、パネルの傾斜角度の動性についてもこれから研究が必要だと言われている。それにも関わらず世界で初めて海に浮かぶ太陽光発電所を建設する今プロジェクトの目的は、オランダのような国土面積が限られた国での再生可能エネルギー供給量を増やすことだ。
資金援助はオランダ企業政府機関(RVO)が行い、技術面はユトレヒト大学がサポートする。ユトレヒト大学は今回の研究成果をもとに陸上と海上における太陽光発電の電力生産量を比較し、オランダ国内でのこれからの太陽光エネルギー生産の効率化に役立てるという。
ユトレヒト大学のWilfried van Sark氏によると、海上では、海水が大きな冷却効果を生み出すため、太陽光発電の発電量が15%高いと予測されている。
プロジェクトの共同開発を行うOceans of Energy社の最高経営責任者Allard van Hoeken氏は「湖や川など水上における太陽光発電はすでに開発が進んでいるが、海の上の太陽光発電は世界初だ。大変な挑戦となるかもしれないが、オランダの海上産業専門知識をもつパートナーと共に乗り越えていけるだろう。」と述べている。
プロジェクトの責任者Wijnand van Hooff氏はこう語った。「2018年のオランダの太陽光発電レポートによると、太陽光エネルギーはオランダのエネルギー供給の75%に貢献できるという。今回の海上の太陽光発電の建設は、この計画の一役を担うだろう。技術を発展させ、太陽光発電の商業的な価値および持続的なエネルギーの可能性を探求していきたい。」
将来的に海上の風力発電タービンのあいだに太陽光発電パネルを埋め込めたら、1平米あたりの発電量は数倍になるという。これは、オランダだけではなく北海沿岸の国々にとって大きな可能性を秘めているのだ。
現在、世界中で研究開発が進められている再生可能エネルギー。オーストラリアでは先日、世界最大の塩を使った太陽光発電所の建設が発表されたばかりだ。そして、今回の海上の浮体式太陽光発電所。最先端技術だけではなく、それぞれの土地に適したエネルギー供給が模索されている。これからの世界のエネルギー動向に注目していきたい。
【参照サイト】Dutch consortium builds first offshore floating solar energy farm in the world: Project ‘Solar-at-Sea’ starts
【参照サイト】Utrecht University is conducting research into the first floating offshore solar plant