ランチの支払いはプラスチックで?エコベールが仕掛ける「ごみカフェ」プロジェクト

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英ロンドンのコヴェント・ガーデンに、ちょっと変わったカフェが期間限定(5月3、4日)でオープンした。その名も「ごみカフェ(Rubbish Cafe)」

ごみカフェ

Image via ecover

店内ではバナナブレッドのフルーツ添えに穀物たっぷりのケールサラダ、野生米ボールなど、エコシェフのトム・ハント氏がプロデュースするごみゼロ、ベジタリアンメニューを提供。お洒落な内装は、アップサイクルの専門家でありテレビ司会者のマックス・マクルード氏がプロデュースした。しかし、このカフェが変わっているのはその支払い方法である。なんと飲食代の支払いはお金ではなく、プラスチックごみを持ち込むことでできる、というのだ。

支払いに使うプラスチックは、ペットボトルやスープの容器などプラスチックならなんでもOK。もし持ち合わせていない場合は、「リサイクルをします!」と宣誓すればOKだというから、かなり太っ腹だ。

主催したのは、日本でも環境保全やアニマルウェルフェアに取り組む洗剤メーカーとして知られるエコベール(Ecover)。ごみカフェのオープンは、彼らの「きれいな世界革命(Clean World Revolution)」の一環だという。

この取り組みの背景には、プラスチックごみの急増問題がある。たとえば、ペットボトルの2016年の消費量は世界で年間約4800億本。たった1秒で2万本が消費されている。そして毎年500万から1300万トンものプラスチックごみが海に流れ込んでいるという(※1)。その結果、2050年には重量ベースで魚よりもプラスチックごみが増える、という調査結果さえある。

波や紫外線によって5ミリ以下ほどまで細かくなったプラスチックはマイクロプラスチックと呼ばれ、やっかいなことに環境ホルモンを吸着しやすいといった性質を持っている。これらは魚が食べ、やがては私たちの身体に戻ってくる。プラスチックごみは海洋汚染だけではなく、私たちの健康にまでかかわってくる問題なのだ。

この問題を解決すべく、世界は今、「脱使い捨てプラスチック」に大きく舵を切ろうとしている。EUは2030年までに使い捨てのプラスチック容器包装をゼロにすると発表。台湾は同じく2030年までにストローなど使い捨てプラスチック製品を前面禁止する方針を打ち出した。また、2025年までにコカ・コーラやユニリーバ、ウォルマートなどの大手企業11社がリサイクル可能、堆肥化可能な容器包装に切り替えるという(※2)。

使い捨てプラスチックの終焉

Image via ecover

エコベールも、脱使い捨てプラスチックに積極的に取り組んできた。2011年にはボトルの素材を石油ではなくサトウキビ由来のものに変更。今後3年間で廃プラスチックではなく再生プラスチックの使用割合を大幅に引き上げ、2020年までには全ての製品のボトルを再生可能な素材に切り替えるという。また、主要スーパーでの詰め替え販売にも挑戦していく予定だ。

「使い捨て資源としてプラスチックを使う文化を変えたい」

市民を巻き込んだエコベールの「脱使い捨てプラスチック革命」。今後のさらなる展開に注目したい。

※1 【国際】世界のペットボトル容器消費量が急増。1分間100万本。深刻化する環境汚染
※2 エレン・マッカーサー財団調べ

【参照サイト】ROLL UP TO OUR RUBBISH CAFÉ
(※画像:ecoverより引用)

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