妊娠を望み、避妊をしていないのにも関わらず一定期間妊娠しない「不妊」。WHO(世界保健機関)の調査によると、不妊の原因の41%が女性のみ、24%が男性のみ、24%が男女とも、となっている。男女とも加齢により妊娠が起こりにくくなるため、早めの治療が望ましいことがあるが、自分が不妊症だと早くから自覚できる人は少ないのではないだろうか。
今すぐ子供を産むつもりはないが、将来的には産むかもしれない。そういうときにいきなり専門の医院で不妊の検査を受けるより、まず自分で検査できたほうが手軽で心理的なハードルも低い。男性の場合は精液を採取してセルフチェックできるキットがあるが、女性の場合はどうだろうか。
2人の女性が起業したアメリカのModern Fertilityという会社は、女性が自分で指先の血液を採取するだけで不妊の検査ができるキットを開発した。検査キットが自宅に届き、採取したサンプルを送れば、Modern Fertilityのアプリなどで検査結果を受け取ることができる。この検査ではホルモンをチェックし、卵子の数、閉経するタイミング、卵子凍結や体外受精への適性などがわかるという。
検査キットは199ドル(約2万円)と、クリニックに行くより安く検査できる点がうれしい。世の中には、女性が一定期間妊娠するよう努めたことを証明しなければ保険が適用されない検査サービスも存在する。そういった状況のなか、創業者の一人であるAfton Vechery氏は「症状が出てから反応するのではなく、先を見越して行動できるようにしたくてModern Fertilityを創業しました」と経緯を語る。
日本でも近年は結婚や出産の年齢が全体的に上がっているため、不妊に悩むカップルが増えているといわれている。不妊症の早期発見という考え方はまだ馴染みがないかもしれないが、社会的背景の変化にあわせて身体が変化するわけでもなく、時間を意識して早めの行動をとることは推奨されるべきだと思う。
もちろん、妊娠し子供を持つことが女性にとって唯一の生き甲斐だということはない。どのような人生を選ぶか、それは個々人の自由だ。そのうえで、Modern Fertilityは子供が欲しい女性の一助となるサービスを提供している。
自分のお腹の中で小さな生命が育っているのが心からうれしい。この子が生まれたら、あふれんばかりの愛情を注ぎたい。そうやって喜びを噛みしめるお母さんが一人でも増えるといいと思う。
【参照サイト】Modern Fertility
【参照サイト】Seem
【参照サイト】病気を知ろう:不妊関連