データセンターの廃熱で暮らす街。ノルウェーの「スパーク」する都市計画

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パソコンやスマートフォンを使っているとき、端末が熱くなって心配した経験はないだろうか。データの処理には発熱が伴う。これは手元にある端末だけではなく、インターネットを介したデータセンターでも日々行われていることだ。

データセンターではデータ処理の規模が大きくなり、発生する熱量も膨大なため、冷却のために多くの電力が使用されている。少しでも熱を抑えるため、施設は寒冷地域に設置されることが多い。

北欧ノルウェーのベルゲン近郊の閑散とした地域では今、データセンターから出る廃熱を利用し、生産エネルギーが消費エネルギーを上回る新たな街「Lyseparken(リューセパーケン)」をつくる計画「The Spark(ザ・スパーク)」が進んでいる。

Image via Snøhetta

世界中のデータセンターで消費される電力は約416テラワット。これは英国で使われる全電力をも上回る。廃熱は通常ファンによる送風で冷却するが、このデータセンターでは液体により冷却する。その液体の循環網は街へとつながっており、たとえば床暖房として使用されることになるのだ。

液体は街中に流れる過程で徐々に温度が下がっていくため、もっとも熱量を必要とする施設はデータセンターの近くに置くことになる。液体が循環してデータセンターに戻るころには、再び冷却液として機能する。

このデータセンターは、街の60万平方メートルのビジネスの中心に位置する。今回の開発で、3千から5千棟の住宅も建設される予定だ。2018年中には試験用のデータセンターが建ち、街の試用も2021年までに始まる。

Image via Snøhetta

従来のデータセンターは広大な土地を必要とし、遠隔地に設置されることが多い。しかしこのスパークプロジェクトで建設予定のコンパクトなデータセンターは都市近くに建設することも現実的で、データトランスファーの時間も節約することが出来る。

「地元の再生可能エネルギーで自給自足するのが当初の目標でした。理論上の打開策が見つかり、プロジェクトが動き出しました。一番の課題はテクノロジーではなく、実施することの難しさです。過去の時代に適用されたままの法規制のもとでイノベーションを起こすのは、簡単なことではありません。これまで存在しなかったテクノロジーを開発しなくてはなりませんが、この課題は解決できるものと信じています。」

地元自治体のプロジェクトリーダー、フレデリック・セリウセン氏は、こう意気込む。

将来的なカーボンニュートラル達成を目指し、世界に先駆けてノルウェーで発足したスパークプロジェクト。これを主導する建築デザイン企業スノヘッタの取り組みには、他にも自らエネルギーを生み出すユニークなホテルがある。

IoT化などが進み、処理されるデータ量は増え続ける一方なだけに、この廃熱リサイクルの仕組みは、街づくりのスタンダードになっていくかもしれない。

【参照サイト】The Spark – Snoehetta
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