工場見学も歓迎。ノルウェーの森の「環境にプラスになる」家具づくり

Browse By

「サステナブルなモノづくりを目指す」という言葉をよく見かける、今日この頃。消費者が、実際にモノづくりの現場を見学することができたら、そういったサステナブルな取り組みが伝わりやすいのではないだろうか。

ノルウェーの家具メーカーであるVestreは2022年6月、同国のMagnorという街に、世界で最も環境に優しい家具工場「The Plus(ザ・プラス)」をオープンすると発表した。建物を上空から見ると「+」のかたちに見えることから、こう名付けられている。

Image via Vestre

Image via Vestre

The Plusは観光施設でもある。2022年秋以降、一般の人が工場内に入り、家具の製造工程を見学できるようになる。工場をサステナブルに建設し運営できることを、人々に見てもらう場になるという。同工場は、従来の工場より温室効果ガス排出量が55%も少ないそうだ。

The Plusは、森の中に建っている点がユニークだ。工場を建てるために切り倒した木はすべて、工場の建材として活用。訪れる人が森を身近に感じられるよう、建物と周辺の木々の距離をできる限り短くしている。

工場が十字のかたちをしているのは、家具の製造エリアを4つに分けているからだ。倉庫、塗料を作る場所、木材を加工する場所、家具を組み立てる場所に分かれており、建物の中央部は環状交差点のような作りになっている。中庭には同社の家具を展示し、人々は中庭の階段から屋上に行くことができる。

Image via Vestre

Image via Vestre

観光施設らしい遊び心を加えるため、機械に鮮やかな色を塗り、その色が床にこぼれたかのようなデザインになっているのも特徴だ。さらに、製造エリアごとに異なる色が使われており、見学に来た人が製造の流れを理解しやすいつくりになっている。

Vestreは、同工場の誕生がきっかけとなり、他のノルウェーの企業がMagnorに生産拠点を設立することを期待している。Magnorはスウェーデンに近い位置にあり、国境を越えた経済活動に向いた場所だという。

製造工程を公開すると、消費者がモノを買うときの判断材料が増えたり、「確かにサステナブルな方法で作っている」という信頼を獲得しやすくなったりするのではないだろうか。

企業が工場の名前や住所を公開することはあるが、その中まで見せるのは、より一歩踏み込んだ取り組みのように感じる。今後日本を含め、世界中で製造プロセスの可視化を目指す企業が増えていくことを期待したい。

【参照サイト】Vestre will build the world's most environmentally friendly furniture factory
【関連記事】自分の古着が生まれ変わる瞬間を目撃。H&M店舗内の”見える”リサイクル工場
【関連記事】工場見学からアクションへ。日本のモノづくりを再考するコミュニティに学ぶ

FacebookTwitter