モノや情報が溢れる今の時代。何を基準にして商品やサービスを選べばいいかわからない、ということはないだろうか?そんな時に役立つのが、ユーザーの情報から最適な情報を与えるパーソナライズサービス。たとえば、購入履歴から関連商品を薦めてくるECサイト、運動習慣や食事からオススメのストレッチを教えてくれるダイエットアプリなどが代表的だ。
今回紹介するのは、食生活をサポートするニューヨーク発のパーソナライズアプリ「Pinto」。このアプリは、異なる利用者のデータと選択した食事パターンをもとに、人ひとりにあった栄養素をどれくらい、どの食品から摂ればいいのかを教えてくれる。栄養士監修の食事パターンは、ダイエットをしたい人からヴィーガン(ビーガン)の人、腎臓を労りたい人や力仕事をしている人など多岐にわたる。
他にも、糖尿病患者の場合には、製品に糖分や繊維がどれほど含まれているかがわかるようになっており、過敏性腸症候群の人には症状の悪化につながる乳糖や果糖が高い製品に対して忠告もしてくれる。アレルギーを登録すれば、該当の商品をスキャンした時に警告の表示をしてくれる。現在、妊娠中の女性のための食事パターンの分析が行われており、随時ほかの食事パターンも追加されるそう。
アプリ開発には、米国のWhole Foods、Kroger、Campbellsなどの大手の食品メーカーやマーケットなどが携わった。アプリ内には、食料品の栄養データがすべて含まれているほか、標準的な栄養成分表には書かれないような成分のデータもある。それらの情報を特定の消費者のニーズに合わせて分類するデータサイエンスエンジンが構築されているのだ。
他にも、オメガ3脂肪酸など注目されている栄養素から商品検索できたり、弁当の写真を撮って記録しておくことで、AIがカロリーだけでなく利用者の食事パターンに足りてない栄養素などを教えてくれたりするそう。
また、何らかの食品パッケージの裏面をスキャンすれば、利用者にとって必要な栄養情報を取得することができる。10万品目の食料品が登録されているため、スーパーなどで商品を選ぶ時に役立つだろう。
アプリのUI/UXデザインには遊び心があり、直感的でわかりやすい。下の図では、チョコレートやフライドポテトが動き回り、食べたものを燃焼するために必要な運動の時間も示してくれている。
膨大な商品情報から、自分にとって必要な栄養素を見つけることは知識や時間がなければ難しい。しかし、Pintoを使うことによって、自分に何が足りていないのかを知り、商品選びをより簡単にすれば、より健康な体作りが実現できるだろう。
また、このアプリは消費者の嗜好などのデータを食品メーカーに販売することも検討しているため、より消費者のニーズが汲み取られ易くなるのではないだろうか。新たな食生活にパーソナライズ栄養管理アプリが必要不可欠になる、そんな時代はすぐそばまで来ているかもしれない。
【参照サイト】Pinto