太陽光で省エネ作動。ハイテク時代に“あえて”逆行するウェブサイト「Low-tech Magazine」

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テクノロジーが日進月歩する世の中。今を生きる私たちは、日々その恩恵を受けている。テクノロジーは経済活動とも深い関係があり、豊かさを求めて我先にと人々が競い合う風潮も見受けられる。しかし、この流れにあえて逆らい、テクノロジーの進歩がすべてではないことを身をもって実践しているウェブサイトがある。

「Low-tech Magazine」は、スペイン・バルセロナ在住のクリエーターで作家のクリス・デ・デッカー氏が2007年から運営するウェブマガジンだ。エコロジーやエネルギー等、興味深いトピックを厳選し、毎月リリースしている。

環境問題を扱った通常のウェブサイトと一味も二味も違う点は、Low-tech Magazineが2018年からすべて太陽光発電で作動していることだ。

太陽光発電システム

Image via Low-tech Magazine

このサイトは、燦々と太陽が降り注ぐバルセロナにあるデッカー氏の自宅バルコニーの太陽光発電システムによって、まかなわれている。オンラインコンテンツにアクセスする際の電力を根本的に節減するように設計されており、天気やバッテリーの残りも表示されているため、意識せずとも目に飛び込んでくる。

現状、曇り空になると、時折電力が足りずにサイトがオフラインになることがあるが故障ではない。多少の不便さを承知で、それを実行するのは、頑なに伝えたいことがあるからだ。

画面右下に否応なく表示されるバッテリー残量によって、コンテンツにアクセスした訪問者の頭には「バッテリーはどのくらい残っているだろうか。電力が続くだろうかどうか」とよぎるだろう。これこそが、インターネット上でサイトを表示する際の電力消費を人々に認知させるカラクリだ。

Low-tech Magazineは、広告を表示することもなく、本当に伝えたいことだけを読者に愚直に訴えかけている。デッカー氏は、「あまたの問題にはすべてハイテクによる解決策がある」という今日の社会のトレンドに異論を唱え、過去の忘れ去られた知識や技術にスポットを当てる。

長い人類の歴史で今まで培ってきた英知を軽んじてはならないという、非常に独自の視点だ。日本でも古くから、「おばあちゃんの知恵袋」といって、先人の経験や知識は大いに参考にしてきた。

古くからあるアイデアと最新テクノロジーをかけ合わせたり、逆に新たな知識と古くから伝わる技術を融合させたりすることで、興味深い可能性が生まれることがある。Low-tech Magazineが言わんとしているのは、まさに、温故知新といったところだろう。

【参照サイト】LOW←TECH MAGAZINE

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