藻からディーゼル燃料を作り出す。気候変動に挑むミシガン大学の研究

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ミシガン大学研究チームが、藻からつくるディーゼル燃料を開発中だ。既存のディーゼル燃料と混ぜて使用し、通常のディーゼル燃料のみを使用する場合と比較して、温室効果ガスの排出を60%削減することを目標としている。

いま世界では、気候変動問題が大きな課題となっている。車は私たちの重要な移動手段の1つであるが、従来のガソリン車やディーゼル車は、燃焼させると温室効果ガスを多く排出するという問題がある。そんななか、藻を原料とするディーゼル燃料が、これまでの燃料に比べて環境に与える負担を軽減することで期待されているのだ。

米エネルギー省は、藻は再生可能なディーゼル、ガソリン、ジェット燃料として、年間数37億リットル生産できる可能性があると予測している。アメリカは、2022年までに国内で販売される1,360億リットルの輸送燃料を混合燃料にすることを目指しているが、いま使用されている混合燃料は5,680万リットルのみと、目標値まではほど遠いのが実状だ。

同省は、混合燃料の開発目標を「アメリカの産業に科学を結びつけて、車両性能効率と国内燃料資源を最大化し、より大きな交通エネルギー供給と信頼性、安全性をもたらすこと」と定めている。

この流れを受け、ミシガン大学研究チームは藻の最善な育成方法、ディーゼル燃料への変換、燃焼プロセスの効率化について、ペンシルベニア州立大学と3年間の共同研究を開始した。米エネルギー省はこの研究に200万ドルの支援を行っている。ミシガン大学のアンドレ・ボーマン教授は、「本研究は持続可能な社会への大きなステップで、影響を及ぼすだろう。」と語る。

藻をディーゼル燃料に

(c)Daryl Marshke, Michigan Photography

藻からの油抽出は、圧縮や超音波を使用して行っている。藻の細胞壁から分離した油を集めて、アルコールと反応させ、使用可能なバイオディーゼルを分離させるのだ。

このプロジェクトに参加する、生物学教授のブラッドリー・カーディネール氏は、「われわれは、屋外の池でクリーンで環境に優しい再生可能なディーゼル燃料をつくる、世界でも珍しいチームだ。」と語っている。

研究チームはすでに、藻の種類をいくつか組合わせたほうが、単一の種を使用するよりも燃料としての性能が高まることを発見している。今後は燃料生産や安定性における最適な組合わせを検討していく。また、燃料の燃焼と排出性能については、藻の化学反応と生物化学特性を見ながら、最適化に図っていくという。

藻を使った地球にやさしいディーゼル燃料。今後のさらなる研究が楽しみだ。

【参照サイト】From ponds to power: $2M to perfect algae as diesel fuel

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