ショートムービーアプリのTikTokが日本でヒットしているが、このアプリを運営しているのが中国発のスタートアップByteDance(バイトダンス)だ。同社はニュースアプリの「Toutiao(今日頭条)」なども運営しており、2018年10月には世界最大のスタートアップになったと報じられたほどの巨大メディア企業である。そんなByteDanceが、実は行方不明者を探すアプリも中国国内で運営しているということをご存知だろうか。
このアプリ「頭条尋人」では、オンラインフォームから行方不明者の情報や写真を登録して捜索を依頼することができる。同社がこの捜索依頼を確認し、アプリユーザーに通知を送信するという仕組みだ。
発見の可能性を高めるために、行方不明者が最後に目撃された場所から10km以内にいるユーザーに送信し、いなくなってから長い時間が経っている場合はより広範囲に通知を送信する。そして情報の周知にはTikTokの動画も活用している。行方不明者の情報を元に10秒ほどの動画を作成し配信することで、情報が拡散されやすいという工夫がなされている。
さらに同アプリでは新たにAI顔認識機能を追加すると発表した。アプリ利用者が探している人の写真をアップロードすると、中国民生部がデータベース化されている保護した身元不明者の情報の中から、失踪者である可能性の高い人物を検索するという機能である。顔認識機能により、行方不明者の写真をアップしただけでバックエンドのデータベースとマッチングし、20日以上行方不明になっていた息子を3秒足らずで見つけた父親もいたという。
このアプリが実際にあげている成果には驚かされる。同社が運営している「Toutiao」のオフィシャルWeiboアカウントによると、このアプリによって2018年12月24日時点で8,000名以上の行方不明者が発見されたという。うち、高齢者が2,932名、大人4,261名、未成年者807名である。このアプリは2016年2月に開設されたので、毎日およそ複数名が見つかっている計算になる。
ByteDanceは今や、「TikTok」といったショートムービーアプリにとどまらずCSR活動にも力を入れ、生後3か月の赤ん坊から101歳の高齢者まで、非常に幅広い行方不明者の捜索に成功している。日本では地上波のTV CMで一般にも認知が広まっている企業の、思わぬソーシャルグッドな一面だ。他の企業についても、自分が見逃している側面があるのではないかと我に返る。
【参照サイト】 ByteDance
【参照サイト】 This migrant worker lost his 56-year-old mentally ill sibling during Lunar New Year travel crush. Toutiao helped find him