AIで公平な人事を実現。偏見の排除を目指す採用クラウドサービス「Harver」

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人材の採用や管理をテクノロジーの力で行う「HRTech」の市場規模は年々拡大している。日本のHRTechのクラウド市場は2018年度に250億円に達しており、そのうちの約38%を採用管理のクラウドサービスが占めている。世界的に見ても成長中の市場であり、2018年度に1.5兆円だった全世界市場は2025年まで毎年平均11%成長を続けると見込まれている。

大手企業経営者へのインタビュー調査では、66%のCEOが人工知能は人事業務に価値をもたらすだろうと考えており、人工知能活用も期待されている成長著しい分野だ。

そんな中、Harver社のような採用プロセスを効率化しながらデータに基づく採用を可能にするサービスも提供され始めている。同社は理念として「人事担当者も応募者も、選考プロセスを好きになるようなプロセスに変える」ことを掲げており、採用活動で生じやすい無意識の偏見を取り除くAIを使ったソフトウェアを提供する企業だ。

無意識の偏見とは、採用担当者が抱く先入観や個人的な好みによるもの。空いたポストに対して必要な能力に関係ないような、性別や出身大学、見た目、趣味によって人は無意識に採用候補者を見て判断してしまう。Harverは2015年の設立時からデータドリブンの採用クラウドサービスを提供しており、主に大規模な採用を行う企業がHarverを利用している。

Harverの採用担当者用画面

Harverの採用担当者用画面

Harverを利用することで、採用応募者の情報や選考プロセスの管理ができるだけでなく、パーソナリティ診断、オンライン面接、能力テスト、企業文化への適正検査、言語能力、実際の業務で求められる判断のシミュレーションなど、様々な検査をオンラインで実施できる。

上記の様々な検査結果はすべてHarver上で管理され、応募者の適性や能力、採用の優先順位などが自動で判断されて数値化される仕組みだ。応募者と採用担当者のやり取りもすべてHarver上で行えるため、採用業務の効率化と統合されたデータを用いた採用が可能になる。

採用時に重視する点を事前に設定しておくと、上記の様々なテスト結果をHarverの人工知能が分析して、企業との相性を点数化する機能も備えている。Harver上で提供されるテストはいずれも科学的に評価されているものを用いており、同社のコンサルタントから結果分析のサポートも受けられるので、採用判断の精度を高めるサポートも手厚い。

近年新入社員のサポートに特化したソフトウェアが登場するなど、人事・採用分野でテクノロジーを活用するサービスは増えている。人事分野でテクノロジーを導入することで作業の効率化だけでなく、データに基づいた判断や予測が可能になることは大きな魅力だ。その反面、人事・採用分野は時に繊細な個人情報を収集・活用する可能性もあり、その管理や活用のルール作りも今後議論が必要だろう。

【参照サイト】Human Resource Management Market
【参照サイト】Harver

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