エコ電力やマイカップ導入、ランチボックス持参―ドイツ鉄道が行う「環境にいい旅」のための工夫

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「環境にいい旅」と聞いて、あなたは何を思い浮かべるだろう。 自家用車ではなく公共交通機関を使った移動は、エコな旅への一歩だ。今回は、ドイツ最大の鉄道会社であるドイツ鉄道(ドイチェ・バーン)の環境保護への取り組みについてご紹介したい。

ドイツ鉄道は2018年、気候変動などの環境問題について企業評価を行う国際NGO、CDPから最良点「A」の評価を受けた。昨年は全世界から7,000もの企業が参加し、「A」を受賞したのはわずが126社だ。交通運輸分野では、カナダの鉄道会社(Canadian National Railway Company)と UPS社と並んで唯一の「A」受賞となった。 当社は、どのような工夫をしているのだろうか。

57%がエコ電力!2030年までに80%を目指す

ドイツ鉄道は、ドイツ最大のエコ電力消費者だ。再生可能エネルギーからできるエコ電力の割合を増やすことで、同社の掲げる環境保護目標の達成に近づく方針であり、近年はエコ電力の割合を大きく伸ばしている。

ドイツ鉄道

(c)DB AG/Barteld Redaktion, 01.06.2017

2017年、ドイツ鉄道のエコ電力使用の割合は全体の44%だったが、2018年には57%となった。2018年からは、長距離列車が100%エコ電力で運行している。2030年までに全車両の80%でエコ電力を使用することを目標としており、環境保護分野に63億円の投資を計画している。

また、2019年1月からはベルリンの6駅、ハンブルク、ケルン、フランクフルト、ミュンヘン中央駅など計15の主要駅が100%エコ電力で稼働している。

マイカップ持参で、飲み物を割引に

ドイツ鉄道では独自のマイカップも導入しており、マイカップ持参者は20セント安く飲み物が購入できる。

コーヒーの使い捨て紙カップやプラスチックカップの削減は、いま多くの国や企業、そして個人が注目している課題だ。使い捨てカップが実際に使われる時間は約15分間。ドイツ環境機関によると、ドイツでは1時間で32万個、1日で760万個のカップが廃棄されているという。使い捨てカップを使用することで、たくさんの木や水、エネルギーをムダ使いしているのだ。

このムダをなくそうと、ドイツ鉄道はオリジナルカップの販売を始めた。このカップはヨーロッパ規格に基いており、100%リサイクル可能なプラスチック製だ。全特急列車内のビストロやオンラインで9,9ユーロで購入できる。

ドイツ鉄道オリジナルカップ

ドイツ鉄道オリジナルカップ (c)Ryoko Krueger

オリジナルカップ購入時にコーヒーまたは紅茶が1杯無料でサービスされるほか、このカップを持参すれば毎回飲み物が20セント割引になる。また、ドイツ鉄道オリジナルカップでない他社製マイカップ持参者にも、20セントの割引が適用される。

さらに、特急列車内で提供されるコーヒーやお茶はすべて、生産者の自立支援を促すフェアトレード認証を受けている。

パン=紙袋は古い。弁当箱持参で買おう!

パン 紙袋

Image via Shutterstock.com

現在、ドイツ鉄道直営店では「パンを紙袋に入れて買うのではなく、弁当箱の持参を」という試みを行っており、2019年3月下旬までドイツ鉄道オリジナルのステンレス製弁当箱をキャンペーン販売している。

ドイツでは、主食であるパンをほぼ毎日パン屋で購入する人も多く、そのたびに紙袋のゴミが発生する。ドイツでは、2016年に「2018年までにビニール袋の80%を有料化する」法律が施行されたため、店でビニール袋をもらうことはほとんどなくなったが、パンは種類別に無料の紙袋に入れて渡されるのだ。

私たちは、紙袋はプラスチック製の袋よりは環境にやさしいと考えがちだが、ドイツ鉄道はさらに一歩踏み込んで、パン用紙袋の削減に向けて動き出した。この試みは今後、他企業にも影響を与えていきそうだ。私たち個人にも、これまで当たり前と思っていたパンの買い方について気付きを与えてくれる。

ドイツ鉄道のさまざまなエコな試み。パンの紙袋という身近なものから電力供給という大きな指針まで、幅広い。あなたも今度のドイツ旅行では、ドイツ鉄道を利用して、身近なものの環境負担削減について考えてみてはいかがだろうか。

【参照サイト】Deutsche Bahn erhält erneut Bestnote im Klimaschutz
【参照サイト】Neue Offensive für den Klimaschutz: 80 Prozent Ökostromanteil bis 2030
【参照サイト】Der DB-Mehrwegbecher.

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