【読者座談会】企業サイトでミレニアル世代が重視する3つのポイントと消費行動の未来 #シェアしたくなる企業サイト

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現在、IDEAS FOR GOODでは読者参加型の企画『#シェアしたくなる企業サイト~ミレニアル世代のスタンダードとは〜』を実施している。

この企画はこれからの時代を担うミレニアル世代の判断基準をもとに、現代の価値観にあう企業サイトの姿を明らかにしようというもの。

企業サイトは企業の想いや社会的な価値を伝えるために欠かせない。しかし、消費者から見ればSNSやクチコミサイト、キュレーションメディアなどさまざまな情報収集の手段が存在する中、「企業サイト」を自ら訪問する機会が減っているのではないか? 現状の企業サイトでは想いや社会的な価値が十分に伝わっていないのではないか……? このような問いから、消費者とともに企業コミュニケーションの形をアップデートする企画が生まれた。

本企画では「ミレニアル世代がシェアしたくなる企業サイト」の特徴を明らかにするべく読者アンケートを実施するとともに、IDEAS FOR GOODの読者8名をご招待し座談会を開催。今回のレポートでは、座談会の中で見えたミレニアル世代一人ひとりの企業サイトに対するリアルな本音をお届けしよう。

座談会の様子

座談会の様子

2019年2月19日、座談会に集まったミレニアル世代8名。ヨーロッパに留学経験のある学生、絵描きやアーティスト、Webディレクターとして働く社会人まで……職種や性別、バックグラウンドはそれぞれ異なるが、社会問題や消費行動に対する意識を共有していた。

彼らが企業サイトに対して抱くイメージ、そして企業サイトにたどり着くプロセスはどのようなものか? さっそく本音を探っていきたい。

ぶっちゃけ、企業サイトはほぼ見にいかない

打ち解ける参加者たち

ー普段、企業サイトを見ますか?

しばらくの間沈黙が流れた後、残念ながらほぼ全員一致で「企業サイトを自ら進んで見ようとは思わない」という答えに。もちろん、企業サイトを見る機会が一切ないわけではない。仕事で競合他社を調査する必要がある場合や、就職活動で企業のことをよく知る必要がある場合など確固たる目的がない限り、自ら企業サイトを見にいくケースはほとんどないようである。だからこそ、「プライベートの時間でわざわざ企業サイトを閲覧したくない」という厳しい意見もあった。

一方で、自分の興味がある情報と企業が発信する情報が一致せず、そもそも自分ごと化できないとの声もある。将来起業を目指しているという読者は、「どちらかというと個人サイトやコミュニティーサイトを見にいく機会の方が多いです。自分が将来作りたい、という意志があるから自分から情報を取りに行きますね。」と話してくれた。

企業から発信する情報を、消費者がいかに自分ごと化して受け入れてくれるかが鍵になりそうだ。

訪れたくなる企業サイト、3つのキーワード

それでは、現存する企業サイトは本当に見られていないのか、というとそうではない。今回の座談会で参加者と話していくと、「また訪れたい」と思う企業サイトには下記3つのキーワードが共通するようだ。

1. 更新頻度が高い
2. 発信するコンテンツ自体が面白い
3. SNSで注目されるうまい仕掛けを作れる

それぞれ具体的にどのような特徴があるのか、事例も交えて見ていこう。

1. 更新頻度が高い

LUSHの企業サイトでは記事が頻繁に更新されている。

たとえ、初回にはなにかしらの目的があって訪れたサイトでも、2回目、3回目と何度も訪れることは稀だろう。実際に「いかにリピートしてサイトを見てもらえるか」について、多くの企業サイト運営者は頭を抱えている。

定期的に見られる企業サイトは共通して、「更新頻度が高い」ことが挙げられる。当たり前だが、何も情報が更新されない企業サイトは何度も見にいこうとは思わない。毎日とは言わずとも、高い頻度で記事などのコンテンツが更新されていれば、そのサイトを定期的に訪れる理由のひとつになる。

2. 発信するコンテンツ自体が面白い

更新頻度は高いに越したことはないが、さらに大事なのは発信するコンテンツ自体の面白さだ。面白さの定義は読み手によって異なるが、そのコンテンツが読み手にとって役に立つ情報だったり、共感できる価値観・世界観を持っていたりする必要がある。

サイボウズ式

座談会の中で何度か名前が上がった「よく訪れる企業サイト」のひとつが、サイボウズ株式会社が運営するオウンドメディア『サイボウズ式』だ。「世界中のチームワークを支援する」という会社のミッションのもと、個人やチームに焦点を当働き方・生き方をテーマとしたコンテンツを発信している。

サイボウズは社内共有用のグループウェアを開発・提供する会社だが、サイボウズ式では商品のプロモーションは一切おこなわない。あくまで「生活者の役にたつこと」を目的に記事を作成しているそうだが、記事を通じて会社のミッションや価値観に共感を得る読者は多く、結果的に会社自体への興味・関心にうまく繋がっている好事例だ。

北欧、暮らしの道具店

もうひとつ並んで『北欧、暮らしの道具店』も何度か名前が挙がった。株式会社クラシコムが運営する、北欧雑貨を中心に取り扱ったECサイト兼企業サイトである。『北欧、暮らしの道具店』でとくに人気のコンテンツが、スタッフが更新する「読みもの」だ。人の温度感が伝わる文章と統一された世界観が、読み手を惹きつけている。

このように、企業が扱う商品やサービスの魅力を直接的に伝えるだけでなく、生活者や消費者視点で企業の価値観や世界観を発信していくことが大切だといえそうだ。

3. SNSで注目されるうまい仕掛けを作れる

ミレニアル世代の中でも特に若い世代では、検索行動の基本がSNSになりつつある。SNSでフォローしている人の情報や、ハッシュタグの検索結果が消費行動に直結するケースも少なくない。座談会に参加していた現役大学生も、SNSで気になった情報を詳しく知るために企業サイトを利用するという。

「特にファッション関連のアイテムが欲しいときは、まずインスタグラムで探します。気になるものがあれば企業サイトに飛んで、どんな素材、生産過程で作られたかを見るようにしていますね。」

商品と消費者の一次接点がSNSになるからこそ、SNSで積極的にコンテンツを提供し、検索の受け皿として企業サイトもしっかり整えておく必要がある。

また、SNSで発信するコンテンツとして、”人”を軸にした情報は有効なようだ。実際に参加者のほとんどが、企業の経営者や従業員が発信した個人のSNSのコンテンツやブログから企業に興味を持った経験があると話していた。

以上をまとめると、企業サイト内で常に新しい情報、一貫性のあるメッセージを発信し続けると同時に、最初の接点になりうるSNSをうまく連携させていくこと。今後ミレニアル世代に受け入れられるサイトになるためには、守っておきたいポイントになってくるだろう。

企業サイトから消費行動をアップデートせよ!

熱弁の模様

最後に、社会問題に対する興味と責任感が強いIDEAS FOR GOODの読者ならではの視点と企業へのメッセージを伝えたい。

今回の座談会で印象的だったのは、消費者として同世代に感じている危惧だ。「商品やサービスを選ぶときは社会貢献度を最重視する」と語る彼女は、日本のミレニアル世代の”消費者としての意識の低さ”に愕然とした経験があると言う。

「大学の授業で、ある有名なファストファッションブランドの工場で労働環境が問題になった事を学んだのにも関わらず、その後も友達はそのブランドの服を買い続けていたのを見て、ショックを受けました。海外では、問題のあるブランドに対してストライキが起きているのに、日本ではそのブランドの商品がバンバン売れているなんてことも……。日本では『インスタ映え』など見た目重視の消費行動が多く、生産のプロセスやストーリーを知ろうとする人はまだ少ないように感じます。」

生産過程のプロセスにも目がいくように……

もちろん購買の際に、その商品は環境にやさしい素材で作られているか、動物性素材は使われていないかなど、気にしている消費者は一定数いるだろう。しかし上記で語られているように、商品が作られるまでの生産過程にまで着目している人は日本でまだ少ない。

SDGs(持続可能な開発目標)の項目にもあるように、企業には「つくる責任」が、消費者には「つかう責任」がある。自社で商品を「つくる」過程で環境や人に対してどのように気を配っているか、何を大切にしているか、企業サイトを通じて発信してはいかがだろうか。簡単な道のりではないが、消費者の「つかう」姿勢にも少しずつ影響を及ぼし、消費行動がアップデートされていくかもしれない。先ゆくミレニアル世代は、それを期待しているのだ。

あなたの声で、企業の情報発信をアップデートしよう

社会全体を変えるなら大企業からーー。IDEAS FOR GOODでは「ミレニアル世代の目線で」広告宣伝費上位の企業サイトの格付け企画をおこなっています。より多くの「リアルな」ミレニアル世代の声を集めるため、引き続き読者アンケートを実施中です。ぜひ皆さんの率直な思いを教えてください!

アンケート集計結果から「ミレニアルスタンダード」の定義づけを行い、それに基づいて編集部が企業サイトの格付けを行います。結果は後日サイト内で発表する予定です。
私たちの声で、企業や社会の在り方を変えるGOODムーブメントを起こしていきましょう!

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