【SB2019Tokyoレポ#5】「海外は進んでる」で終わらない。みんなが継続できる日本なりのサステナブル消費とは

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2019年3月6日、7日の2日間にわたり開催された 『サステナブル・ブランド国際会議2019東京』。

2日目の「ミレニアル・Z世代から学ぶ 日本におけるサステナブル消費のツボ」セッションでは、日本における消費者意識や、サステナブルな商品・サービスが選ばれるためのポイントについて話し合いが行われた。

エコな選択をする

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<セッション登壇者>
  • ファシリテーター:株式会社博報堂 松井博代氏
  • パネリスト:株式会社ハースト婦人画報社 十河ひろ美氏
  • パネリスト:株式会社テーブルクロス 城宝薫氏
  • パネリスト:フリーランス エバンズ亜莉沙氏

重要なのは、足並みを揃えることではない

「日本におけるサステナビリティ意識の浸透は、欧米よりも大分遅れている」と言われることは多い。同様の認識を抱いていた登壇者の4人だが、その主張は決して「日本はダメだから海外を見習おう」というものではなかった。

日本とアメリカ、2つの国の学校に通った経験を持つエバンズ氏は、サステナビリティに対する意識の違いを生む要因のひとつは教育なのではないかと分析する。

「アメリカの教育では、自分の考えを持ち意見を述べることが評価されます。だから、普段から社会で起きているあらゆる問題について思ったことを自由に話せる雰囲気があるんですね。

一方、日本の教育で評価されるのは『唯一の正解』を答えること。だから、完璧な回答を見つけていないと意見を言いづらいんですね。

消費者にとって、サステナビリティは企業や政府が対応すべき問題だと思えてしまったり、サステナビリティに対する個人の意見を持ったりしづらいのは、答えがないからかもしれません。学校のテストとは違い、社会や地球が抱える大規模な問題に対するたった一つの正答はありませんから。」

そもそも、個人の意識を形づくっている社会の価値観や文化が大きく異なるのだ。同じものさしで日本の現状をはかり、批判しているだけでは何も変わらない。十河氏は、日本人ならではのサステナブルな価値観を見直す必要性を述べる。

「日本には、昔から『もったいない』という言葉がありました。英語でmottainaiという単語ができてしまうほど、海外から見ても『良いな』『取り入れたいな』と思える考え方だったということですよね。

私たちは『グローバルスタンダード』という言葉を使い、違う国を一様の基準で判断してしまいがち。ですが、環境問題においては『足並みを揃えること』自体が目的ではありませんよね。環境をすこしでも良く変えることができるなら、皆が同じやり方を採用する必要はないはずです。」

やり方はちがってもいい

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続けて城宝氏が「海外では流行らなかった『ペットボトルのキャップを外してリサイクルする運動』が日本では浸透した」という例を紹介。欧米のやり方を模倣するのではなく「日本人に合ったサステナブルな在り方」を探す重要性を強調した。

実際に、日本の消費者に訴求するには?

企業に良い想いや理念があれば顧客が自然についてくるかというと、そうではない。

熱い想いのこもった理念は、確かに問題意識を持っている一定の層には強く響くだろう。だがそれは逆に言うと、アンテナを張っていない人には届かないということでもある。また、できるなら地球に良いことをしたいと思う人でも、価格がネックとなり、サステナブルな商品を選べない/選ばないことも多い。「理念のもとに良いことをしているのだから多少高くても仕方ない」という考え方では、サステナブル消費を浸透させることはできないのだ。

商品を手に迷う女性

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本当に消費で良い世界をつくろうとするなら「社会や地球に良い、かつ高品質の商品・サービスを、競合他社と同じような価格で展開」し、消費者に「どうせ同じものを買うなら少しいいことができる方を選ぼう」と思ってもらう必要がある。多くの人に「未来を変える行動」を選択してもらうためには、良い理念を掲げるだけでは十分でないのだ。

しかし、それより重要なのは「理念があっての実利」だということである。エバンズ氏は、日本の「もったいない」価値観を例にとり、こう述べる。

「もったいないという価値観は、言い換えれば『無駄を嫌うこと』『モノに意味を見出すこと』。『自分にとって意義あるもの』だと思えることこそが、日本人の消費のコアなのではないでしょうか。

モノに意義を感じてもらうためには、そこに込められた想いやストーリーが必要です。それに、作っている人や売る人が身近に感じられるとモノ自体にも愛着が沸きますね。「社会や環境にとって良いこと」だと分かってもらうよりも「自分ゴト」と捉えてもらう訴求の仕方が大切だと思います。」

企業の理念こそがストーリーであり、消費者に自分ゴトとして選んでもらうカギとなる。だから、何よりもまず理念や想いが必要になるのだ。

小さなことからすこしずつ

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小さなことを、すこしずつ

「ちょっと社会に良い商品を選んだって、今すぐに温暖化が止まったり児童労働がなくなったりはしない。結局のところ、サステナブル消費なんて自己満足じゃないか。」

確かにそういう見方もあるだろう。

だからといって「無償で、汗をかいて、現地で行う支援しか意味がない」というふうにハードルを上げては、誰も行動できなくなってしまう。それなら、毎日気軽にできることで、一人ひとりの小さくとも確実な取り組みを重ねていくことも大切なのではないか。彼女たちはまっすぐに言い切った。

サステナブル消費を単なるブームで終わらせないためには、短期的な効果を求めず長い目で見ることが必要だ。だからこそ「どうせ買うなら」「どうせ使うなら」楽しいことに転換していくという消費スタイルをつくることには、大きな意義があるのではないだろうか。