【6/21 イベント開催!】読者100人に聞いた「#シェアしたくなる企業サイト」。ミレニアル世代の心を掴むための3つのキーワードとは?

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似たような文言ばかりが並ぶ企業サイト。会社のブランドを発信する場であるはずなのに、今のサイトからは“その会社にしかない価値”を読み取ることができません。未来を担うのは私たち、ミレニアル世代。私たちが素敵だと思えるサイトでなければ意味がないのではないでしょうか。

そんな疑問から始まり、IDEAS FOR GOOD読者参加企画として行った「#シェアしたくなる企業サイト ~ミレニアルズのスタンダードとは~」。この記事ではその調査結果について報告します。回答してくださったIDEAS FOR GOOD読者のみなさま、ご協力誠にありがとうございました。

記事後半では、アンケート調査で明らかとなったミレニアル世代が大切にする3つのキーワードをまとめました。今回の特集に関するイベントのお知らせもありますのでお見逃しなく!

調査概要

  • 調査目的:ミレニアル世代の心に響く企業WEBサイトを把握すること。
  • 調査対象:ミレニアル世代10〜30代のIDEAS FOR GOOD読者 104名
  • 調査期間:2019年2月4日〜2019年4月17日
  • 回収方法:IDEAS FOR GOOD読者アンケート + IDEAS FOR GOOD読者座談会

アンケート回答者属性

アンケート回答者 年齢

アンケート回答者 性別

アンケート回答者 性別

アンケート回答者 年齢

アンケートの回答者はIDEAS FOR GOODの読者ということもあり日頃から社会問題への関心が高いのはもちろんですが、調査では社会課題への関心を問う設問について「ある」という回答が多くをしめました。(6段階評価で上位二段階の「大変ある」「ある」が合計で76.7%)。「どんな社会課題に興味がありますか?」という設問では「環境(66.3%)」「教育(66.3%)」「経済(58.2%)」などが上位をしめました(複数回答可能)。

※6段階評価の調査は「1.大変ある」「2.ある」「3.少しある」「4.あまりない」「5.ない」「6.全くない」を表す。

社会課題に関心がありますか?

IDEAS FOR GOODが行ったアンケート結果①

どんな社会課題に興味があるか

IDEAS FOR GOODが行ったアンケート結果②

調査結果

社会課題への意識と商品購買はまだ結びつきが浅い

「企業の商品やサービスを購入する際に、その企業が社会課題解決に貢献しているかどうかを意識しますか?」という設問では、上位二段階の「大変意識する」「意識する」の回答が合計で34.9%と、社会課題への関心に比べるとやや低く、社会課題への関心は高いものの、実際の購買時にはあまり意識していないことがわかりました。つまり、認知と行動の間にはギャップがあるといえます。

次の「社会課題解決をしている企業の商品やサービスを友人にすすめたことはありますか?」という設問では「全くすすめたことがない」が前の設問「企業の商品やサービスを購入する際に、その企業が社会課題解決に貢献しているかどうかを全く意識しない(5.8%)」という回答の倍以上(13.6%)となっており、自分では社会課題に貢献している企業の商品やサービスを購入していたとしても、友人にすすめるまではまだ至らないミレニアル世代が多い結果となりました。

商品やサービスを購入する際の企業の社会課題への取り組みを意識するか

IDEAS FOR GOODが行ったアンケート結果③

社会課題に取り組んでいる会社の商品を友人に勧めたことがあるか

IDEAS FOR GOODが行ったアンケート結果④

就活など、自分と企業との関わりが深くなるほど「社会課題解決への積極性」を意識

一方で、回答が特徴的だったのは「あなたは就職する際にその企業が社会課題解決に積極的な企業かどうかは意識しますか?」という設問。上位二段階の「大変意識する」「意識する」の回答が68%と、高い数値となりました。つまり、自分と企業との関わりが深くなればなるほど「社会課題解決への積極性」を意識するようになる、という仮説が成り立ちます。

就職活動時に社会課題に関する木ギュ小野貢献度合いを意識するか

IDEAS FOR GOODが行ったアンケート結果⑤

ミレニアル世代は企業サイトをあまり見ない・・・

どんな企業も持っている企業サイト。ブランドを体現する企業の顔でもあるからこそ、できる限り多くの人に見て欲しいものです。それにもかかわらず、残念ながら今回の結果ではミレニアル世代は企業サイトをあまり見ないという結果に。

「いつ企業サイトを見ますか?」という設問では「仕事で情報を得たいとき(56.9%)」「就職・転職活動のとき(54.9%)」「店舗を探したいとき(48%)「新商品の情報があったとき(34.3%)」などの用事があるときのみに「検索(75%)」で見るという結果に。

IDESA FOR GOOD読者座談会でも「企業サイトを日常で見ることはほとんどない」という声が多く上がりました。

企業サイトをいつ見るか

IDEAS FOR GOODが行ったアンケート結果⑥

何経由で企業サイトを見るか

IDEAS FOR GOODが行ったアンケート結果⑦

ミレニアル世代に支持されるための3つのキーワードとは?

では、どうしたらミレニアル世代に企業サイトに足を運んでもらえるようになるのでしょうか。ミレニアル世代が企業サイトを見る際に重要視するポイント15項目を6段階評価(「1.大変重要」「2.重要」「3.少し重要」「4.あまり重要でない」「5.重要でない」「6.全く重要でない」)してもらった設問をもとに、IDEAS編集部ではミレニアル世代を惹きつけるために必要な要素として3つのキーワードを抽出しました。

1. パーパス
2. オーセンティシティ(真正性、ありのままの意)
3. デザイン

企業サイトを見る際に重要視するポイント15項目を6段階評価

IDEAS FOR GOODが行ったアンケート結果⑧

1. パーパス

「大変重要」の割合が高かった「5.社会的な取り組みに対する企業の“想い”がストーリーとして伝わるか(46.5%)」「1.企業の価値が落とし込まれている(34.7%)」などから企業の存在理由や存在意義、つまり「何のためにこの会社があり、何のために事業をするのか」を意味するパーパスが重要視される結果となりました。

豊かな時代に生まれ、お金だけがモチベーションにならないミレニアル世代は、承認欲求や自己実現欲求を満たしてくれるような何かを生活や仕事にも求めています。言い換えれば、個人も企業と同じようにパーパスを求めているといえます。だからこそ、企業がパーパスを示すことではじめて、個人は自分のパーパスと企業の目指す方向性とをマッチングをすることができ、共感を覚えることができるのです。個人は、自分のパーパスと一致しているブランドを応援し、消費や就職を通じてそのブランドの一部になりたいと考えます。

2. オーセンティシティ(真正性、ありのままの意)

今、ブランディングの本質が「よく見せる」から「ありのままを見せる」に変わってきています。「14.背伸びをしていない(大変重要:32.7%)」が支持されていることからわかるのは、いいことも悪いことも公にしたほうが消費者から信頼されるということです。投資の世界では「インテグリティ」、CSRの世界では「トランスペアレンシー」と言われることもあります。

そもそも企業としてのパーパスを明確に持ち、それが従業員にも浸透していないと、自社のありのままの姿を自信をもって見せることは難しいので、その意味でもパーパスは企業にとって大切なことだと言えます。

3. デザイン

最後に「6.デザイン性を大事にするか(大変重要:46.5%)」から、デザインが大切なことがわかります。

モノがあふれる時代の中で、ミレニアル世代においても「機能的価値」より「情緒的価値」の重要性が高まっています。ブランドエンゲージメントを高めるうえで「かっこいい」「美しい」というポジティブな感情を消費者から引き起こすことはとても重要であり、「なんとなくかっこいい」ということがとても大事になってきています。

これがうまく企業のパーパスと結びつくことで「社会にいいことをやっている=かっこいい」といった文脈でパーパスを消費者が受け取ることができ、社会にいいことは強制されてやるのではなく自分がやりたいからやる、かっこいいと思うからやる、といった「行動」に結びつけることができます。

ミレニアル世代に支持される企業サイト5選

上記の結果を踏まえ、アンケートの中で具体的にどんな企業サイトがミレニアル世代に支持されたかを見ていきましょう。

※それぞれの企業の5スター評価は、IDEAS編集部が独自に評価・採点したものです。

1. サイボウズ株式会社

アンケート結果、座談会の中でも特に人気があったのはサイボウズ株式会社(以下、サイボウズ)の企業サイト。サイボウズはクラウドベースのグループウェアや業務改善サービスを軸に、社会のチームワーク向上を支援しています。

サイボウズの企業サイトが支持された理由としては「“チームワークあふれる会社”を創る」という企業のパーパスがはっきりしている」「企業のオウンドメディア『サイボウズ式』での新しい働き方提案に関する記事には、会社のパーパスがきちんと反映されている」というパーパスが明確なこと。

また、サイトデザインのシンプルさへの高評価や「社員のSNS活用がうまく、企業で働く人の想いがよく見える」、「13年前は企業の離職率が28%だったこと(現在の離職率は4%)なども含め、ありのままに情報公開している」というオーセンティシティなどで、就活生を含むミレニアル世代に支持される結果となりました。

デザイン ★★★★★
パーパス ★★★★★
オーセンティシティ ★★★★★

2. UNIQLO(ユニクロ)

株式会社ファーストリテイリングを代表するブランド、ユニクロ(UNIQLO)のサイトは企業サイトとECサイトが一体化した作りになっていることもあり更新頻度も高く、訪れるたびに新しい情報が得られるサイトです。

アンケートの回答であったのは「幅広く多種の事業に取り組んでいるため活動の影響力が大きく、もっとも環境を変えうる力を持っている。そういった社会的責任を企業サイトで述べている」という企業のパーパスが明確なことへの評価。当サイトでは「ユニクロのサステナビリティ」という項目で、わかりやすく海外での現地レポートや動画などを公開しています。また、サイトでは企業で働く多様性のある社員を動画などで紹介し、企業で働く人の想いがありのままに見えることが評価されました。

デザイン ★★★★☆
パーパス ★★★★★
オーセンティシティ ★★★★☆

3. Apple(アップル・日本)

訪れるたびにデザインが変わるApple(日本)の企業サイト。

最も多かった声は「デザインがとにかくシンプルでおしゃれ」です。企業のパーパスもわかりやすく、社会課題に対する取り組みが企業サイトの中にわかりやすく現れています。

また、企業のパーパスも明確で、企業サイトに「環境」に関する取り組みを記載したページがあり、「真に革新的な製品は、地球に影響を与えることなく、世界を変えます。」と大きく書かれています。

デザイン ★★★★★
パーパス ★★★★★
オーセンティシティ ★★★★☆

4. Patagonia(パタゴニア)

アウトドアスポーツに適した機能的なウェアなどを販売するパタゴニアの企業サイト。

「私たちは故郷である地球を救うためにビジネスを営む」という企業の社会的責任、パーパスが一目ではっきりわかる企業サイトです。ブログで企業の環境に対する想いを配信しており、更新頻度も高く、一度だけではなく頻繁に訪れるきっかけを作っているといえます。アンケートの中では「ECやブログが見れるパタゴニアのアプリがあり、そこからアクセスがしやすい」という意見もありました。

デザイン ★★★★☆
パーパス ★★★★★
オーセンティシティ ★★★★★

5. IKEUCHI ORGANIC(イケウチオーガニック)

イケウチオーガニックは最大限の安全と最小限の環境負荷でテキスタイルをつくるトータルオーガニックテキスタイルカンパニーです。

アンケートの中では環境の負荷を最小限にしてオーガニックタオルを作る様子を動画で企業サイト上に公開しており、企業の想いが見えやすいという声がありました。

企業で働く人の想いをより消費者に伝える取り組みとして「イケウチノヒト」という工場で働く人たちのインタビューを企業サイトで公開しています。最近では、企業サイトだけでなく作り手とフォロワーをつなぐサービス『note(ノート)』でもこの「イケウチノヒト」を公開しています。企業サイトをもはや見にいかないというミレニアル世代に対し、自らミレニアル世代が集まるSNSやブログプラットフォームに行く選択に好感が持てます。

さらに消費者への露出を増やす仕組みとして、オウンドメディア「イケウチな人たち」を開始。社員ではないイケウチのタオルが好きな顧客・第三者へのインタビュー記事を配信しています。ミレニアル世代は口コミや第三者からの広告色のないありのままの評価のほうが信用しやすいという結果もあり、こうした飾らない評価を公開する点も評価されました。

デザイン ★★★★☆
パーパス ★★★★★
オーセンティシティ ★★★★★

今回の調査を受けて・・・

今回の調査結果について、主に企業のCSV分野で企業のデジタルマーケティングを支援する株式会社エンゲージメントファースト代表取締役を務める原裕氏と、サステナブルブランズアカデミックプロデューサーを務める駒澤大学の青木茂樹教授からそれぞれの観点でコメントをいただきました。

ー原裕氏より

IDEAS FOR GOODの読者ということもありますが、ミレニアル世代の特徴がよく出ている結果だと思います。ソーシャル世代でもあり『リアル』なコミュニケーションに慣れていると、フェイクかどうかを見分ける力が備わっており、それが『パーパス』『オーセンシティ』『デザイン』という言葉に表されています。これはWEBに限らず、その企業の評価項目と同じで、企業の姿勢が問われているのだと思います。パーパスがない、あるいはそれを顧客との共有価値にしていない企業やブランドは持続可能性が厳しくなると思います。グローバルリーダー企業がパーパス経営やそれに基づくマーケティングを強化している背景はこのためだと思います。

ー青木茂樹教授より

今回の調査は、サンプルは少ないもののIDEAS FOR GOODの読者の特徴である、環境や倫理的な意識の高いミレニアル世代の特徴を捉えた非常に示唆に富んだ結果が見えたように思う。

2003年は日本におけるCSR元年と言われたが、以降長い間、企業行動や消費者行動に大きな進展はなかった。しかし、この数年はサステナビリティの話題があちらこちらで聞かれるようになってきている。いうまでもなく、これは企業の存続のみを指すのではなく、トリプルボトムラインやESG投資で言われる環境的側面、社会的側面、経済的側面のバランスを取った持続可能なモデルをいう。これを下図で説明してみよう。

Sustainabilityへ向けた企業とステイクホルダーの関係

Sustainabilityへ向けた企業とステイクホルダーの関係

これまで行政の監督官庁によってサステナビリティへ向けた法整備や行政指導が行われ、または時にメディアによる批判もあり、これに対し①Compliance(法令遵守)として企業は対応してきた。しかしこれだけでは企業の自発的動機には繋がらない。

企業は、単純化すれば図のような投入=算出モデルの生産関数として捉えられる。今回の調査にあったように読者は「就職活動では社会課題解決への積極性を強く意識する」となっている。またESG投資も欧米に比べ日本は非常に低い水準であるが、ESG投資のパフォーマンスも高くなってきていた(参考:A roadmap to sustainable investing)。そうすると、取引先も含めたバリューチェーンも含め、今後、②Inputの投入部分にサステナビリティが深く関わってくると予想される。つまりサステナビリティに対応していない企業へはヒト・モノ・カネが集まらないのだ。

問題は、消費者に向けた③Output部分について「社会問題解決に貢献する企業の商品やサービスの購入意図や推奨にはつながっていない」という現状である。そこで現在、どんな企業活動が行われているのかを青木ゼミで調査をしてみた。ぜひInstagramで「#マーケティング×sdgs」
「#sustainable_marketing」を検索してもらいたい。実は色々な企業が取り組みを始めつつある。

企業のステイクホルダーである外堀が、図のようにサステナビリティで埋められてきた今日、これらの点と点が繋がって一挙に面となり、Sustainable Marketingが差別化の源泉となる日も近いであろう。その時、調査結果で言われるような、企業のパーパスやオーセンティシティが伝わるコミュニケーションやふさわしいデザインとなっているだろうか。

イベントを開催します!

いかがでしたか?ミレニアル世代を惹きつけるためのコーポレートコミュニケーションについて、少しでもヒントが見つかれば幸いです。しかし、実際にはこれだけを見ても何からどのように始めれば良いのか、今ひとつわからないという方も多いのではないでしょうか。

そこで、IDEAS FOR GOODでは今回の調査結果をもとに6月21日(金)にイベントを開催します!今回のイベントでは、本記事でもコメントをくださった青木茂樹先生、原裕さんのお2人もお招きし、企業のCSVのプロ、NPO広報のプロ、クリエイターの目線から、自社のパーパスを消費者にどのように伝えていけばよいか、そのコミュニケーションのコツを徹底的にお伝えします。

企業のPR担当者の方やCSR担当者の方からメディアのライターや編集者の方、ソーシャルグッドに興味をお持ちの方まで、ぜひふるってご参加ください!

イベント概要

開催日時 2019年6月21日(金)15:30~20:30(開場:15:00~)
会場 東京都品川区西五反田1-17-3 plaza square 五反田 4F
最寄駅 ・JR山手線・東急池上線・都営浅草線 五反田駅 徒歩2分
・東急池上線 大崎広小路駅 徒歩4分
・東急目黒線 不動前駅 徒歩11分
・JR山手線・りんかい線 大崎駅 徒歩12分
参加費 ・イベントのみ:無料
・イベント+懇親会:3,000円
定員 20名(先着順)
イベントURL http://ptix.at/2t907p

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【調査協力】株式会社エンゲージメント・ファースト/日本マーケティング学会 サステナブル・マーケティング研究会

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