ハチ激減をストップ。都会の自宅でできたての蜂蜜を収穫できる「b-box」

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国連環境計画(UNEP)の調査によると、1990年代後半からハチの数は世界的に激減しているという。欧州ではミツバチの10~30%、米国では30%、中東では85%が死に絶えた。その原因は農薬、環境破壊、養蜂家の減少、花の咲く植物の減少など様々な可能性が指摘されている。

オランダのユトレヒト、バス停を「ハチ停」に。生物多様性をまもる緑の屋根」でも取り上げたように、ハチははちみつを作るだけでなく、野菜や果物の受粉を媒介しているため、その数が減れば私たちの食生活に大打撃をもたらしかねない。食料となる100種類の作物の7割は、ハチが受粉を媒介している。

このような背景のなか、プロの養蜂家でなくても、誰もが簡単かつ安全にハチを飼育できる巣箱が登場した。この巣箱「b-box」を設計したのはイタリアのbeeingという会社だ。クラウドファンディングサイトのIndiegogoで2019年8月8日時点で目標金額を大きく上回る2,600万円を調達しており、2019年11月に商品を出荷する予定だという。

このb-boxの特徴は3つある。1つめに、1平方メートルのスペースに収まるサイズなので、家のベランダや庭などに設置できる点が便利だ。広い土地を必要としないため、都会でもハチを飼育できる。beeingによれば都会にある多様な花の種類や冬場の穏やかな気温のおかげで、意外にも都会のほうがハチにとって好ましい場合もあるという。

2つめに、ハチが唯一b-boxから出入りできる箇所が地上2.2メートルの高さに設置されているため、はちみつを収穫する場合も安全だ。b-boxに付いているレバーを引くことで、はちみつを集める場所とハチが住む場所を上下で分断できるため、ハチがはちみつを集める場所からいなくなれば、防護服を着なくてもはちみつを収穫できる。

そして3つめに、巣の壁が透明になっていて外から中が見えるため、ハチの観察をすることができ、人がはちみつを消費することでハチの巣にどういう影響が出るのか、理解を深めることができる。

b-boxは人だけでなく、ハチのことも考えた設計になっている。はちみつがたまる巣枠は大きいサイズのものがひとつではなく、小さいサイズのものが16個入っているので、人が必要な分だけをその都度取り出して、他はハチのために残しておける。

b-boxでできる甘いはちみつを、ぜひ自宅で味わいたいものだ。ハチも人と同じように、この甘さを感じるのだろうか。ハチへの興味が尽きない。

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【参照サイト】 beeing

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