英国ロンドンのハックニー・ウィック地区に11月上旬、ゼロウェイストをコンセプトとしたレストラン「Silo(サイロ)」がオープンした。
廃棄物削減の先駆者でありシェフのダグラス・マクマスターが創立したSiloでは、店内で食品ロスや包装などのごみを出さないことはもちろん、地元農家との直接取引や食品のコンポスト化を通して、食料の生産・消費・再生産のループを閉じた「無駄のない」レストランを体現している。もともとブライトンで経営していた同店舗を閉じ、今回ロンドンに移転してきたのだ。
このレストランで提供しているのは、肉や魚ありメニューとベジメニューの2種類。エルサレムアーティチョーク(生姜のような形のイモ)などの変わった野菜や、頭足類など、さまざまな食材が毎朝サプライヤーによって調達され、新鮮な状態でゲストの前に出される。調理のポイントは、できるだけ手を加えず、シンプルにつくることだ。
レストラン内にごみ箱はなく、代わりに余った食材や食べ残しを堆肥に変えるためのコンポストの機械だけが置いてある。
生産・消費・再生産のループを閉じるというテーマは、食品だけに留まらず、レストラン内のあらゆる面に反映されている。たとえばサプライヤーが運んでくる食材の包装にはプラスチックを使わず、インテリアは地元デザイナーによってアップサイクルされたものを使用し、ジャム瓶なども飲料グラスとして新たな価値が与えられている。
すべての面においてごみを出さないSiloの考えは、フィンランドのゼロウェイストレストラン「Nolla(ノッラ)」も感銘を受け、実際に取り入れているという。
「廃棄物というのは、ごみ箱に入るようなものだけではありません。私たち自身が日頃からゼロウェイストを意識して生活しなければ、食の未来はないんです。」とSilo創立者のマクマスター氏。では、どうすれば日常の中でゼロウェイストを実践していくことができるだろう。
マクマスター氏は以前、Country & Town House誌のインタビューに対しこう答えている。「ゼロウェイストを実現するため、農家やスーパー、サプライヤーなどからのあらゆる購入を“投票”と捉えることから始めましょう。ファストフードの購入は、ファストフードに投票していることになり、オーガニックフードの購入は、オーガニックの未来に投票していることになります。これらの小さな行動を、過小評価しないことが大切なんです。」
地元の農家と直接取引をし、サプライヤーとも話し合って包装のゼロウェイストを実現するSilo。最初は埋め立て地に何も送らないことを目指し、英国初のゼロウェイストレストランSiloをオープンし、今ではロンドンに拠点を移して英国内外で高い評価を受けるマクマスター氏らの情熱が伺える。
Siloのロケーションは、新進気鋭のアーティストが揃う地区だ。ロンドンを訪れる際には、壁いっぱいに広がるストリートアートの雰囲気を楽しみながら、廃棄物を一切出さないレストランの料理を楽しんでみるのも良いのではないか。
Silo Londonの詳細
レストラン名 | Silo London |
住所 | The White Building 1st Floor, Unit 7 c/o CRATE Bar, Queen’s Yard, London |
営業時間 | 平日:18:00~22:00 休日:11:00~15:00、18:00~22:00 |
営業日 | 火曜~日曜 |
URL | https://silolondon.com/ |