アムステルダム市内を縦横無尽に巡る運河には、プラスチックをはじめとするゴミが浮遊している。
アムステルダムの水道会社Waternet社は、毎日ゴミ収集船5隻で大量のプラスチックを含む3,500kgの廃棄物を収集しており、毎年運河から約42,000kgのプラスチックを除去している。他にも、ボートに乗ってアムステルダム運河を巡りながらプラスチックを「釣る」ツアーが開催されるなど、同市ではゴミ除去のためのさまざまな試みが行われている。
そして今回ご紹介するのは、プラスチックの海洋流出を防ぐ泡のカーテン「バブルバリア」だ。アムステルダムを拠点とするスタートアップ The Great Bubble Barrier社が、アムステルダム市と水管理委員会の委託を受け、運河のエイ川に合流するウェステルドク地区に設置した。
バブルバリアは、運河の底に設置された穴の開いたチューブに圧縮空気を送り込むことによって作られる気泡のカーテンだ。自然な水の流れに合わせて、バリアを斜めに配置する。こうすることで、水面に浮かぶプラスチックを運河側面の収集システムに誘導し、海へ流れ出ることを防ぐ。
泡のカーテンは、1日24時間・週7日間機能し、船や野生生物の行き来を妨げることなく河川や運河に展開できるということで、効果が期待されている。そして、収集されたプラスチック廃棄物の量と危険性、および流入元は、Plastic Soup財団によって調査が行われるという。
すでに複数のテストが実施されており、その結果1mm以上のプラスチックを運河から回収でき、浮遊する試験物質の86%を遮断することが実証された。0.02 mmから0.5 mmのマイクロプラスチックへの影響については、現在オランダ国内の廃水処理プラントで、浄化された廃水を用いて調査が行われているところだ。
泡のカーテンという新技術を使って、運河のプラスチックを効率的に集めるアムステルダムのBubble Barrier。既存のゴミ収集システムとの連携が楽しみだ。
【参照サイト】First screen of air bubbles stops plastic from Amsterdam’s canals
(※画像提供:The Great Bubble Barrier)