イギリスで建設が始まった、450万世帯のエネルギーを賄う世界最大の洋上風力発電所

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世界最大の洋上風力発電所の建設が、イギリス中東部沿岸のウルローム村で始まった。

世界最大の洋上風力発電所

(c)SSE

イギリスは2050年までに温室効果ガス排出量をゼロにすることを国の目標に掲げており、2018年にはアイリッシュ海に位置する世界最大級の洋上風力発電所「Walney Extension」が稼働を開始した。発電量は659MWで、一般家庭60万世帯にクリーンな電力を提供している。

今回、建設が始まった洋上風力発電所「Dogger Bank Wind Farms」は、Walney Extensionを遥かに上回る発電量を持つ。合計3.6GW、一般家庭450万世帯に再生可能エネルギーを供給できるということで、世界最大の洋上風力発電所だと注目されているのだ。

Dogger Bank Wind Farmsは、スコットランドに本拠を置くガス・電力・通信会社のSSE社と、ノルウェーに本拠を置く石油ガス会社のEquinor社の合弁会社で、北海の3つの洋上風力発電所で構成される。世界で最も強力なタービンといわれるGeneral Electric社の「Haliade-X」を使用。Haliade-Xは高さ260m、ローターの直径220m、最大出力は12 MWを誇る。

General Electric

(c)General Electric

陸上ケーブルインフラの設置は、イギリスを代表する土木会社のひとつJones Bros Civil Engineering社が行う。現時点で約32㎞の電気ケーブルの設置が計画されており、電気ケーブルはダクト(管)に入れられる。ダクトは溝の中に設置し、既存インフラや自然の障害物の下を掘削して必要な場所に設置される。

Dogger Bank Wind Farmsの完成は約2年後の予定だ。完成後は2つの洋上風力発電所サイトで発電された電力を、ウルローム村から南西約30㎞のビバリー市南部の変電所に送っていくという。

世界最大の洋上風力発電所の完成が待ち望まれるが、クリーンエネルギーの代表格である風力発電も、生活環境や生態系への影響に対する懸念といった課題があることも念頭に置く必要がある。WWFジャパンの気候変動・エネルギープロジェクトリーダーである小西氏は、大規模な洋上風力発電の導入について、「基礎データ収集と環境影響評価の手法確立が急務」であるとの見解を発表している。

世界最大の洋上風力発電所Dogger Bank Wind Farmsと、今後の洋上風力発電の動向に注目していきたい。

【参照サイト】Construction commences for Dogger Bank
【参照サイト】General Electric
【参照サイト】環境から見た洋上風力発電の留意点

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