あなたは旅行に行くとき、どのような基準で旅行先やアクティビティを選んでいるだろうか?Booking.comの調査によると、87%の旅行者が「サステナブルな旅行がしたい」と答えており、約4割の旅行者が実際に環境に配慮した旅行プランを立てている。
このようにサステナブルな旅行に重きを置く人が増えている中で、フィンランド政府観光局が行うのが、自国の観光業界の持続可能な発展を促進するプロジェクト「サステナブル・トラベル・フィンランド(Sustainable Travel Finland)」だ。
2019年夏より開始されたこのプロジェクトは、持続可能な旅行に積極的に取り組む企業や地域をフィンランド政府が認証することで、旅行会社や消費者がサステナブルな旅行を選びやすくすることが狙いだ。
認証の完了には7つのステップが課されており、全てのステップを経ることによって、取得する企業・地域は環境や経済、文化、社会性といった様々な側面での持続可能性を考え、実行に移せるようプログラムされている。
認証の取得過程には、サステナビリティについてのノウハウの備蓄や短期・長期的な開発計画、地域とのコミュニケーションの実施などが求められ、サステナブルな観光業が1年以上実施されているかの検証も行われる。プログラムにはeラーニングなどオンライン上で行えるものを積極的に取り入れており、遠方の取得者の参加も容易にしている。
認定された企業・地域は、持続可能な観光開発に関する最新情報やマーケティングのサポートなどが提供される。また、フィンランド政府観光局の公式サイト「Visit Finland」での紹介も行われ、国際的にその魅力をアピールする機会を得られる。
このプログラムで特に注目したいのは、旅行会社などの企業だけでなく、観光地などの地域単位でも取得可能なことである。その地域の観光関連会社の51%が認証を受けていることが必要条件となっており、地域として認証を受ければサステナブルな旅行先を求める消費者を惹きつけられるだろう。
現在は試験運用段階にあり、12の地域・企業がプログラムに参加している。以前IDEAS FOR GOODでも紹介した、市をあげてサステナビリティの向上を目指しているヘルシンキ市も参加しており、地域単位での承認を目指す観光地も多い。
フィンランドはWorld 2019 Happiness Reportが発表するランキングで2年連続で世界で最も幸せな国に選ばれており、フィンランド人は幸福は自然との共存によって生み出されると考えている。国内にある数多くの美しい湖や川、森林は、食物などの物質的な豊かさを付与するだけでなく、ウェルビーイングな生き方をもたらしているのだ。
自然に深く根ざしているフィンランド人にとって、その自然を守ることはとても重要なことであり、観光業従事者の83%が持続可能な観光プログラムを支持しているという。フィンランド政府は、政府の認証制度を実施することによってサステナブルな観光をより形にし、フィンランドの美しい自然環境と人々の純朴なライフスタイルを育んでいく予定だ。
国家レベルでサステナブルな観光業の促進に力を注いでいる、フィンランド。他にもCO2排出量で宿泊費が変わるエコツーリゾート「Arctic Blue Resort」やサステナブルな宿泊施設のみを掲載する民泊サイト「Zerobnb」など、企業1つ1つの意識も高い。次の旅はサステナブルな生き方を体感しにフィンランドを訪れてみてはいかがだろうか?
【参照サイト】フィンランド政府観光局
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