電車やバスで足を広げないで。「有害な男らしさ」と向き合うベルリンのファッションプロジェクト

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電車やバスに乗る際、隣に座るのをためらうほどに足を広げている人を見かけたことはないだろうか?公共交通機関で男性(man)が足を広げて(spreading)座る行為を、マンスプレッディングという。空いている時ならともかく、過度に足を広げ、人のスペースを侵害する行為は配慮に欠けている。

ベルリンのファッションブランド「RIOT PANT PROJECT」は、そんなマンスプレッディングに対抗するユニークなプロジェクトである。マナー違反だということや、「男らしさにとらわれていないか?」と投げかけるメッセージをプリントしたパンツを履き、股を大きく開いた写真を世界に向けてインスタグラムで発信するというものだ。

この取り組みは、ベルリン芸術大学でファッションとデザインについて学ぶミナさん、エレナさんの2人の学生によって始まった。自分のジーンズやスウェットパンツ等を彼女たちに送り、「Stop spreading(広げるのをやめよう)」「Give us space(スペースをくれ)」「Toxic masculinity(有害な男らしさ)」の3つからプリントするメッセージを選ぶことができるそう。

有害な男らしさとは、伝統的に「男はこう振る舞うべき」とされる行動規範のうち、負の側面があると考えられるもののことだ。たとえば男性優位の意識、男は強くタフでないといけないという意識、男は性に活発であるべきという意識など。今回のRIOT PANT PROJECTは、一部のマンスプレッディングをする人に向けての取り組みであり、このようなステレオタイプに苦しむ男性にも、プロジェクトが届くことを目指している。

エレナさんは「多くの人に知ってもらうために、問題に対して楽しい方法でアプローチすることを心がけている」と話す。公式インスタグラムの写真をみると、強いメッセージ性を感じさせるだけでなく、スタイリッシュなデザインが目を引く。日々見過ごしがちな問題に着目し、みんなで声をあげるために、間口の広いファッションを取り入れるのは効果的かもしれない。

有害な男らしさ を問題視し、デザインという遊び心を持ってジェンダーの平等を呼びかけるこの取り組み。同時に、「女性は足を広げてはいけない」「上品に振舞うべき」などの女性らしさのステレオタイプに対しても反発しているのかもしれない。日本でも、伝統的な役割に苦しむ男女のためにできることを模索していきたい。

【参照サイト】The Berlin fashion label waging war on manspreading

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