市民と政府の認識ギャップを「ゲームで」埋める。国連が気候変動対策ゲーム「Mission 1.5」をローンチ

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昨今、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリ氏を筆頭に、自分たちの未来に密接する気候変動問題に危機感を抱いた若い世代が、具体的な対策を講じるよう各国政府に要求するムーブメントが起こっている。しかし、こうした要求に応えるような議論が政界で十分に行われているかといえば、そうではないだろう。自分が意見を表明したところで、何かが変わるわけがない。そうした思いから、国の政策に不満を覚えていても声をあげることができない人は少なくないのではないだろうか。

UNDP(国際連合開発計画)は、そんな気候変動対策に関する市民・政府それぞれの認識のギャップを埋めることを目的として、オンラインゲーム「Mission1.5」をローンチした。

Mission1.5

Image via UNDP

ゲームのプレイヤーは気候政策担当者として、地球の気温上昇を1.5度未満に保つために政策を決定していく。食、輸送、エネルギーなど、カテゴリごとに最適な政策を選び取るクイズのような方式だ。ゲーム内には、プレイヤーが優先的に解決したい課題に投票するシステムがあり、市民の意見を集め数値化するプラットフォームとしても機能している。集められた票は、オックスフォード大学の研究者がまとめて分析してから、政府の指導者や気候政策立案者に配布されるという仕組みだ。

2019年9月にはベータテストが実施され、世界中で1億2500万人のプレイヤーが投票した。現在は国連の6つの公用語すべてで提供されており、キャンペーンが年間を通じて進むにつれて、さらに多くの言語が追加される予定だ。

スマートフォンでプレイしたゲームの画面

スマートフォンでプレイしたゲームの画面。

筆者もプレイしてみたが、プレイ画面はカラフル且つたくさんのアニメーションが含まれているので、楽しみながらゲームを進めることができた。すぐにわかるような易しい問題もあれば、知らなかったような難しい問題もあり、ゲームでありつつもきちんと学べるように設計されている。ゲームで学んだ直後に自分はどの問題を解決したいかを投票できる仕様になっているので、実際に国に対して声をあげているのだと実感できた。

UNDP(国際連合開発計画)の管理者であるAchim氏はは、このゲームが「革新的な双方向のディスカッションで何百万人もの人々を政府と結び付けることができる」と語っている。

今まで、市民が課題を認識していても、「どれほどの人がそれを問題視しているか」という実数が把握できていなかったが、このゲームにより、国連機関の研究結果として問題意識を持った人の人数を可視化することができる。数値に表われた国民の声は、政府を動かす力になってくれることだろう。このゲームを通して多くの市民が、自分の声をあげる機会を持ち、それに各国政府がしっかりと応えることが期待される。

【参照サイト】Mission 1.5 a game-changer
【参照サイト】UN launches world’s biggest survey of public opinion on climate change

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