地元の海洋廃棄物から作られたランウェイ、ロンドンファッションウィークで登場

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華やかなランウェイ。その一度きりの場を作るために、莫大なゴミが排出される。そんな大量消費の現状に対し、ファッションブランドは今、非難を正面から受け止め、よりサステナブルな状態へむけて衣服の倫理的な生産・消費を行おうとしている。今回紹介するのは、2月中旬に行われたロンドンファッションウィークで登場した、海洋廃棄物を使用した「アブソルート・トラッシュ・ランウェイショー」だ。

イベントを行ったのは、ロンドンを拠点とするブランド体験代理店のMarble LDNと、同じくロンドンを拠点とするPR会社のJohn Doe。世界的なウォッカブランドAbsolut Vodkaの新しい限定ボトル「アブソルート・リサイクル」の発売を記念して、廃棄物の力と美しさを祝して行われた。この限定ボトルには、当社の他のすべてのボトルと同様、41%以上のリサイクルガラスが使われている。

イベント会場のランウェイは、そのすべてがリサイクルされたゴミから作られた。ステージや壁、看板に使用されたのは、ロンドンの海岸で見つかった240㎏もの海洋廃棄物や、現地のバー・ナイトクラブで出た瓶、プラスチックゴミ。さらには、さまざまなイベント会場の裏で大量に捨てられる使用済みバッグ、靴、ハンガー、服のはぎれ、ボール紙などのゴミも使われた。ランウェイロードに散りばめられたガラスなどの室内装飾には、Absolut Vodkaのボトルが使用された。Absolutの看板は、46本の廃棄ウォッカボトルを砕いて作成されたものである。

イベントのデザイナーには、環境問題に対してアプローチを行う、12人の将来有望なサステナブルファッションデザイナーが抜擢された。彼らをイベントに招待することで、環境意識の高い消費者の関心を惹きつけることも狙いの一つとなっていた。

Marble LDNは、以前から持続可能な形にファッション業界を作り替えるため、様々な取り組みをしてきた。プラスチックを一切使用しないランウェイイベントや、リサイクルされた材料だけでできるキャットウォークステージの制作も行っている。今回は、これまでに積み重ねてきた企業努力が垣間見えるランウェイイベントとなった。

ゴミはゴミとして見ればただのいらないもの、汚いものだ。しかし、そこから何かに使用できるかもしれないと視点を変えれば、その物自体の新たな魅力が自然と見えてくる。サステナブルな社会に向けた道のりは様々な業界で努力していかなければならない。エシカル消費の概念も、今後はより普及していくだろう。ファッション業界には今後も、ファッションの持つ魔法の力を使い、新たな価値を生み出していってくれることを期待したい。

【参照サイト】Absolut Trash Fashion Show(MARBLE LDN)
【参照サイト】CREATING A PLATFORM FOR SUSTAINABLE DESIGNERS AT LFW(John Doe)

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