料理中の油を石鹸にアップサイクル。シンクからの水質汚染を防ぐ「Sápu」

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2017年、ロンドンの下水道システムに、2階建てバス11台と同じ大きさの固形化したFOG(廃水中の油や脂肪、グリースの総称)が発見された。これは調理に使用した油などをそのまま排水溝に流す家庭が多いと起こり、FOGが詰まることで水道インフラの問題の80%が引き起こされるという。問題だらけのFOGを単に集めてゴミ箱に捨てるのもいいが、もしこれを役立つものに生まれ変わらせることができたら?そう考えた一人の工業デザイナーのアイデアを紹介する。

英ノーサンブリア大学に通うDanielle Coffeyさんは、料理のときなどに出る油脂を、たった数分で石鹸に生まれ変わらせるデバイス「Sápu(サプ)」を開発した。アイスランド語で石鹸を意味するSápuは、水道にそのまま流すと水質汚染や配管の詰まりを引き起こすFOGを利用し、価値あるものにアップサイクルする画期的なアイテムだ。

SAPU

(c) Danielle Coffey /
John Lewis Collaborative Project

使用済みの油などをこのデバイスに注ぐと、食物粒子を捉えるフィルターを介して濾過される。濾過された液体を石鹸にするために水とアルカリ液を混ぜ、さらに追加で自分好みのハーブや角質除去剤なども追加。その後、型に入れて1時間ほど固めることで石鹸になるのだ。ちなみに、このフィルターは生分解性の素材でできており、堆肥として利用できるため無駄なゴミも出ない。

FOGの用途は、洗剤や衣服の製造など他にもあるが、これらを作るには多くの家庭から油脂を集める必要がある。一方で、石鹸は作るのが簡単かつ実用的であるため、彼女はこのデバイスを開発したという。

FOGの正しい廃棄や再利用といった行動を促すことにより、水質改善を目指すSápu。今まで処理が面倒で、水道会社にとって大きな課題となっていたものが、一つの製品によって家庭で役に立つものに生まれ変わる。そんな常識が覆るようなアイディアは実に興味深い。Coffeyさんは複数の企業からSápu製品化のアプローチを受けている。

現時点(2019年10月17日)では購入できないが、近いうちにSápuが各家庭に一台が当たり前になるかもしれない。今後の動きに期待したい。

【参照サイト】Sápu – Design For Industry 2019 Graduates