オランダで生まれた、「ペットボトルと長く付き合うため」のリサイクル技術

Browse By

海洋汚染をはじめ、大きな環境問題となっているペットボトル。環境に良くないものであるとの認識は広まりつつも、明日から人類がその使用をゼロにすることは現実的ではない。どうしても使ってしまうペットボトルをリサイクルする。これは、地球環境を守るため、各国が行うべきこととして提示されている命題だ。

だが、一口にリサイクルといっても、物質を100%リサイクルすることが難しかったり、リサイクルの過程で多量の電力を使用することになってしまったりと、そこには多くのジレンマがある。私たちは今後、ペットボトルのリサイクル問題にどのように向き合っていけばよいのだろうか。

イギリスのコンサルタント会社Eunomiaによると、EUでは毎年約430万トンの食品用PETプラスチックが生産されているが、そのうち機械的にリサイクルされているのはわずか3分の1以下の140万トンだ。今回紹介するCuRe Technologyの手法は、そうした深刻な環境問題に対する一つの解決策を提示し、EU内で大きな注目を集めている。

オランダを拠点とするリサイクルのスタートアップ企業・CuRe Technologyは、どんな種類のプラスチックでもより環境にやさしい形でリサイクルできる技術を開発した。今まで、着色された容器包装プラスチックや違う種類のプラスチックが混ざったものは、分離してのリサイクルが困難で、物質をリサイクルできる状態にしてから再加工する段階を踏んでいた。その結果、「リサイクルの工程」に「石油燃料からプラスチックを生産するとき」よりも多くのエネルギーが費やされていた。

リサイクルプロセス

Image via CuRe Technology

そこでCuRe Technologyは、独自のリサイクルプロセスを適用し、リサイクルコストの大きいプラスチックから再利用に耐えられる透明なプラスチックを再生成。従来のリサイクルプロセスよりも多くの不純物を使用済みPETプラスチックから除去し、高品質のリサイクルプラスチックを製造できる。この技術を用いると、従来の方法と比較してエネルギー消費が少なく、C02の排出量も少なくなるのだという。

現在、コカ・コーラ社の欧州部門がCure Technologyに対して支援をしている。その理由は、コカ・コーラ社が今後10年以内に石油からできた新しいPETプラスチックを完全に排除する目標を掲げているためだ。もしCuReの技術が商業化されれば、コカ・コーラ社は2030年までに、年間20万トン以上のバージンプラスチック(リサイクル素材を使っていないプラスチック)を包装容器から取り除くことができると試算している。コカ・コーラ社は、廃プラスチックボトルを食品や飲料用の高品質包装に戻す革新的なパイロット工場を西ヨーロッパで設立することも視野に入れているという。

物質に善悪は無い。我々がいかに持続可能な社会を意識してものを作り、使っていくか、それがいま問われているのだろう。

また、飲料ブランドのPETプラスチック削減策として、砂糖から生成したボトルの製造実験を行っている記事も以前紹介した。興味のある読者は、ぜひそちらもご覧になっていただきたい。

【参照サイト】CuRe Technology

Edited by Megumi Ito

FacebookTwitter