災害時にも活躍。CO2を排出しない空飛ぶタクシー「CityHawk」

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近年、石油や石炭などの化石燃料の代わりに、水素を利用したエネルギーが増加している。化石燃料は燃焼するとCO2が発生するが、水素は燃焼しても水を生成するのみでCO2は発生せず、さらにさまざまなエネルギー資源から製造できるため注目されている。

例えば、ドイツでは2018年に水素燃料電池で動く旅客電車が運行を開始、トヨタ社は航続距離800kmの水素燃料自動車「Mirai」の第二世代を2020年に発表した(※1)。また日本政府としても、2030年までに全国で水素ステーション900カ所の設置と水素燃料電池自動車80万台の普及を目標としている(※2)

水素を用いた経済活動がより活発になる中、イスラエルに本拠を置くUrban Aeronautics社はアメリカのHyPoint社と共同で、水素燃料電池を使用した空飛ぶタクシー「CityHawk」の開発を発表した。

(c)Urban Aeronautics

CityHawkは6座席。外部に翼がなく、内部にローター(モータの中で回転する部分)が設置された画期的な設計は、「どこでも飛んで、どこにでも着陸」するdoor to doorの輸送を可能にするとともに、優れた制御や安定性、安全性や騒音低減を実現。コンパクトながらもペイロード(運搬できる重量)が高く、燃料補給も数分でできるため、都市交通や緊急時の対応に最適だ。

Urban Aeronautics社は、商用タクシーと救助を目的とするeVTOL(電動モーターを搭載した、垂直離着陸できる小型航空機)を、HyPoint社は水素燃料電池システムを開発している会社である。電動モーターを搭載した空飛ぶタクシーは、広く開発が進められているが、今回発表されたCityHawkは、水素燃料電池と電動モーターを搭載していることが特徴。水素燃料電池は、2万時間の水素パワートレイン(車の動力源)の寿命を持つなど、そのエネルギー性能は優れている。

都市渋滞の緩和や利便性を高め、自由な都市移動を目指して開発が進められている空飛ぶタクシー。今回新たに加わった水素エネルギーの利用と高性能のエネルギーによって、より環境に配慮した移動や災害時の救助としての利用に貢献することが期待される。最先端の技術が詰まったこのプロジェクトは、今後の空飛ぶタクシーに新たな方向性を与えていくかもしれない。

※1 Toyota advances towards a hydrogen mobility future with second generation Mirai
※2 水素基本戦略(概要)

【参照サイト】Urban Aeronautics signs agreement with HyPoint to advance the incorporation of hydrogen power in its CityHawk eVTOL design
【参照サイト】水素基本戦略(概要)
【関連ページ】水素経済
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Edited by Tomoko Ito

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