水素燃料電池で動く世界初の旅客電車、ドイツで運行開始

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ドイツで、水素燃料電池で動く世界初の旅客電車「Coradia iLint」が運行を開始した。Coradia iLintは、ドイツ北部の北海に面した港街クックスハーフェン市からブクステフーデ市までの全長100kmの区間を、これまでのディーゼル動車に代わって走行する。ヨーロッパの鉄道車両製造大手Alstom社が、車両製造を行った。

私たちの生活に欠かせない交通手段である電車。その運行には大量のエネルギーが必要で、環境への影響は大きい。鉄道各社は環境負荷軽減を目的として、エコ電力を導入するなどさまざまな試みを行っている。オーストラリアでは、100%太陽電池で動く電車の運行が始まった。

今回、開発された水素燃料電池で動く旅客電車は、水素と酸素を電気に変換する燃料電池を車両に搭載している。大気汚染物質を排出せず、騒音も最小限だ。最高時速は140㎞、航続距離は1,000㎞で、水素を1回供給すれば1日中走行できる。

(c)René Frampe

水素補給は現在、クックスハーフェン市からブクステフーデ市への道中にある駅で、ホームに横付けされた12mの可動式鋼製コンテナから水素ガスをポンプで注入して行っている。2021年までには、エルベ・ウェーザー鉄道交通社の敷地内に、固定式水素供給タンクが設置される予定だ。そして、このタンク設置完了と同時に、新たに14本の水素燃料電車が稼働するという。

ニーダーザクセン州の経済交通省は、この14本の新しい水素燃料電車の購入にあたり、8,100万ユーロ(約100億円)を計上して援助を行った。州のこのプロジェクトへの期待は大きい。

水素燃料電車の導入にあたっては、環境への配慮とは別に大きな理由があった。ニーダーザクセン交通局が現在所有するディーゼル動車120本が、今後30年で寿命に達するのだ。これに代わる電車として、水素燃料電車が導入されることとなった。

ドイツ交通省秘書で国会議員でもあるエナック・フェーレマン氏は、こう語っている。「Coradia iLint は、将来のモビリティの大きな一歩だ。水素燃料は効率的で排出ガスが少なく、ディーゼルに代わる新しい燃料である。特に、電線架設が不経済である区間や、電線架設ができない分岐線などにおいて、このクリーンで環境に優しい電車は大きな役割を果たすだろう。我々はこの水素燃料電車普及のために、サポートしていく。」

ドイツで運行開始された、水素燃料電池で動く世界初の旅客電車。非電化区間における未来のクリーン燃料として、これからが期待される。

【参照サイト】Weltpremiere: Alstoms Wasserstoff-Züge starten im öffentlichen Linienverkehr in Niedersachsen