自分の古着が生まれ変わる瞬間を目撃。H&M店舗内の”見える”リサイクル工場

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ファッション業界が、「世界第二の環境汚染産業」であることをご存知だろうか?

国際連合環境計画の発表によると、ファッション業界は世界の廃水の20%、CO2排出量の10%を生み出しており、毎秒トラック1台分に相当する繊維ごみが埋め立て、もしくは焼却されている。

ファッション業界における環境への対策が求められている中で、スウェーデンに本拠を置くアパレル大手H&Mが、ストックホルムの同社店舗内にリサイクル工場を誕生させた。店舗を訪れた人は、リサイクルシステム「Looop」を使用した同工場で、古い衣服を新しいファッションアイテムにリサイクルする工程を実際に見ることができる。

Looopは、H&M財団と研究パートナーである香港のHKRITA社(香港繊維アパレル研究開発センター)と同じく香港の繊維メーカーNovetexTextiles社によって共同開発された。H&M会員も非会員もLooopを使って、100スウェーデン・クローナ(約1,200円)から150スウェーデン・クローナ(約1,800円)で古い服を新しい服に変えることができる。収益はすべて、材料研究に関連するプロジェクトに送られる。

(c)H&M

Looopのシステムでは、衣服は洗浄されて繊維に細断され、新しい糸に紡がれて新たなファッションアイテムとして生まれ変わる。サステナブルな方法で調達された、最小限の資源を追加する必要はあるが、水や化学薬品を使用しないため、環境負荷を大幅に小さくする。またH&Mは、ファッションのループを閉じる(ごみや有害物質を外に出さない)ことに取り組んでおり、Looopのシステムを通して、「古い衣服には価値があり、ごみになるべきでない」というメッセージを、顧客に対して視覚的に伝えている。

H&Mは、2030年までにすべての材料をよりサステナブルな方法でリサイクルまたは調達することを目指している。2013年にファッション小売業者として初となる、世界的な衣料品収集プログラムを実施し、日本でも2020年9月末までに約5,441トンの古着を回収した。また、これまでにも「パイナップルやオレンジなどの廃棄食品を使った女性服」や、エレン・マッカーサー財団とコラボした循環型のジーンズコレクション「Jeans Redesign」などを発表している。

スウェーデンのH&M店舗に誕生する、衣服のリサイクル工場。持参した古着から新しいファッションアイテムに生まれ変わる瞬間を自分の眼で見ることができる。服を「捨てる」という考えをなくすためのH&Mの新たな挑戦だ。

【参照サイト】RECYCLING SYSTEM ’LOOOP’ HELPS H&M TRANSFORM UNWANTED GARMENTS INTO NEW FASHION FAVOURITES
【参照サイト】Putting the brakes on fast fashion
【関連記事】廃棄食品をファッションに。パイナップルやオレンジでできた、H&Mの春コレクション
【関連記事】H&M、循環型のジーンズコレクション「Jeans Redesign」を発表。エレン・マッカーサー財団とコラボ

(※画像:H&Mより引用)

Edited by Tomoko Ito

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