廃棄を減らす。QRコードを読み込むと「思い出」を語るオフィス家具ブランド

Browse By

新型コロナの世界的大流行によりリモートワークが広がり、オフィス家具が廃棄されることが増えた昨今。米ニューヨークのブルックリンを拠点とする家具デザイン会社Uhuru Designによると、2020年には、1,180万トンの家具が埋め立て地に運ばれたという。どうしたら、家具をもっと長く使い続けることができるのだろうか。

Uhuru Designは、別のオフィス家具会社One Workplaceと提携し、2021年4月22日のアースデイに新たなブランド「Heirloom Design」を立ち上げた。丈夫で長持ちする循環型デザインのオフィス家具で、一つの会社で使われなくなったら他の会社に引き渡される仕組みだ。家具に付けられたQRコードを読み込むと、家具がそれぞれの会社で持つ思い出(ストーリー)を見ることができるようになっている。

ストーリーの内容は素材、職人とメーカー、製造日、それぞれの作品の意味づけといった情報からなり、人とデザインの間に関係性を作り出す。Heirloom Designのコンセプトが生まれたのは、創業者がある晩、何世代にもわたり受け継がれてきたベビーベッドについて語っているときだった。

大量生産・大量消費が加速し、家具も消耗品のように設計され、扱われる傾向があったが、 こうしてストーリーを語り継ぐことで、廃棄するよりも他の会社に受け渡そう、という気持ちを想起させるのだ。Heirloom Designは会社同士が共に成長していけるコミュニティづくりも目指しており、これらの製品を「埋め立て地にたどり着くことのない家具(furnitures that will never see a landfill)」だと謳っている。

 

この投稿をInstagramで見る

 

Heirloom Design(@heirloomdesignstories)がシェアした投稿

2020年、オフィス家具の市場規模は約200億米ドル、家庭向けについては460億米ドルにものぼった。建物に関連して生じるCO2が人間が排出するCO2排出量の40%にも相当するとも指摘されている。

Heirloom Designは、それを見直して、高品質で長持ちし、物語を伝える家具に着目したのだ。日本では古来、古くて歴史の長いものには魂が宿ると考えられてきた。同ブランドは、家具に魂を吹き込むことでエンドユーザーに新たな選択肢を提供し、ニュー・アメリカン・デザイン・ムーブメントを起こそうとしている。


【参照サイト】Heirloom Design
【参照サイト】Uhuru Design is Founding Maker in Heirloom Design
Edited by Kimika

FacebookTwitter