9,000万人が視聴。バングラデシュの「料理動画」が地域をよくする理由

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あなたは、どんな料理が好きだろうか。

カレー、パッタイ、パエリア、ケバブ──こうした「エスニックフード」は、今や多くのカフェやレストランで食べられるようになった。日本に居ながら旅行気分を味わえたり、遠い国や地域に住む人々に想いを馳せたりできる「ツール」といえるだろう。

そんな「食」に加え、インターネットへのアクセス向上は、全く新しい方法で人々と世界を繋ぐようになった。

バングラデシュ

image via Jahidul-hasan / Shutterstock

「Village Food Secrets」「AroundMeBD」「Village Cooking Channel」。これらは、村の料理を世界に発信するYouTubeチャンネルだ。それぞれの登録者数は、約350万人、420万人、1,500万人。これまでに累計数十億回の視聴を記録している大人気チャンネルである。しかし、ただレシピを紹介する一般的な料理動画とは違う。この「料理動画」では、村人たちによって構成されたチームが、巨大なごちそうを調理する動画が発信されている。

そして、この動画の特徴が、農村の経済を変革し、雇用を創出していることだ。たとえば、バングラデシュのYoutubeチャンネル「AroundMeBD」のクリエイター、デルワール・フセイン氏は、現在50人のスタッフを雇い、料理動画を制作している。650ポンド(約295キログラム)の水牛、140ポンド(約63キログラム)のティラピアのカレー炒め、320ポンド(145キログラム)の野菜のごった煮……様々なご馳走が作られる様子が記録され、動画としてアップロードされる。また、できた料理は村に住む何百人もの子どもや大人たちに無料で振る舞われているという。

Youtubeのチャンネルを通じて広告収入が増えれば増えるほど、その収益を通して近隣の村人たちにまで料理を届けることができる。加えて収益は、料理をするスタッフが怪我をした際の医療費や、山火事で被害を受けた家の修理や建て替え費用などにも役立てられているそうだ。

さらに、料理動画の制作は、地域経済の活性化に貢献している。現在、料理に使用する魚の購入に毎月約3,500米ドル(約44万円)程度、食材を村まで運ぶために175米ドル(2万2千円)程度がかけられているそう。また、動画を視聴して国内外から撮影に使われた村を訪れる人も出てきており、村全体の活性化にも繋がっているという。

インターネットの力によって、世界の小さな村の食文化が世界に伝わり、未来に継承されるようになった。同時に、この「食」というツールは、雇用創出や経済活性化をもたらした。このバングラデシュにおける取り組みのように、「食」はまだまだ新たな社会変革の可能性を秘めているかもしれない。

【関連記事】バングラデシュの村に誕生。障がい者と女性のための「泥」でできた施設
【参照サイト】Village Cooking Channel
【参照サイト】Village Food Secrets
【参照サイト】AroundMeBD
【参照サイト】Bangladesh’s ‘YouTube Village’ Has 4 Million Subscribers Watching Elderly Villagers Cooking Extravagant Feasts

Edited by Tomoko Ito

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