暑い日が多い今日この頃、買い物に行ったときに、アイスクリームに手が伸びる人もいるのではないだろうか。そのとき、アイスクリームが何℃に冷やされているか、考えることはほとんどないだろう。
日本の食品衛生法は、冷凍食品を-15℃以下で保存しなければならないと定めている。また、一般社団法人日本冷凍食品協会は、自主的取扱基準として保存温度を-18℃以下に定めている。
食品の国際規格であるコーデックス規格も、-18℃以下と定めている。こうすることで細菌の繁殖を抑え、最初の品質を長く保つことができるという。
このような状況のなか、食品・日用品大手のユニリーバは2022年5月、アイスクリームの冷凍ショーケースの温度を-12℃にするパイロットプログラムを実施すると発表した。
温度を高くすることで、エネルギー消費量と温室効果ガス排出量を減らし、-18℃という業界の標準を変えられないか挑戦するという。
メーカーとして広く知られるユニリーバは、実は小売業も営んでおり、冷凍ショーケースを300万台以上所有している。同社のアイスクリームブランドである、「Wall’s」や「ベン&ジェリーズ」などを販売している。
By ‘warming up’ our ice cream freezer cabinets, we could use much less energy and reduce our carbon footprint.
It’s part of our work towards net zero emissions by 2039.
Read how we’re testing this idea in Germany and Indonesia. https://t.co/dmSolTVide#UniquelyUnilever pic.twitter.com/oXUNPCM6gT
— Unilever (@Unilever) May 6, 2022
最初のパイロットプログラムは、2022年5月にドイツで始まり、2回目は2023年にインドネシアで行う。この2回の試みがうまくいけば、さまざまな地域で、冷凍ショーケースの温度を上げる取り組みを進めていくそうだ。冷凍ショーケース1台あたりのエネルギー消費量と温室効果ガス排出量を、約20~30%減らすことを目標にしている。
アイスクリームの保存温度を変えることが、地球環境にどれほど大きな影響をもたらすのか、疑問に思う人もいるかもしれない。
同社の場合、バリューチェーン全体の温室効果ガス排出量の10%を、アイスクリームの冷凍ショーケースが占めるという。包装材が温室効果ガス排出量の12%、物流が15%を占めることを考えれば、影響は意外と大きいのではないだろうか(※1)。
同社が意欲的な取り組みを進めれば、その後に続こうとする企業も増えるかもしれない。気候が大きく異なるドイツとインドネシアでのパイロットプログラムで、どのような結果が出るか楽しみだ。
※1 Unilever Climate Transition Action Plan
【参照サイト】Unilever ‘warms up’ ice cream freezers to help tackle emissions | Unilever
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