すべての市民に健康を。暑さから身を守る、バルセロナの「気候シェルター」

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「夏になると、暑くて体調がすぐれない」と感じる人は多いだろう。あまりの暑さは、命にかかわることもある。

世界保健機関(WHO)によると、1998年から2017年にかけて、16万6千人以上の人が熱波により亡くなったという。また、2000年から2016年にかけて、熱波に見舞われやすい人の数が約1億2,500万人増加したそうだ(※1)

このような状況のなか、スペインのバルセロナ市は2020年以降、すべての市民が暑さから身を守れるよう、涼しく過ごせる場所を「気候シェルター」に指定する取り組みを進めている。2021年には、気候シェルターの数が155か所にまで増え、2020年の倍以上になったそうだ。

気候シェルターとは、具体的にどのような場所なのだろうか。屋内であれば26℃程度の気温であること、屋外であれば豊かな自然や噴水があることが特徴だ。多くの人がアクセスしやすい場所にあること、イスなどの休憩場所があること、水分補給ができることも大切なポイントだ。

これまで、学校、美術館、図書館、公園などが、気候シェルターに指定されてきた。これらの場所には、気候シェルターであることを示すマークが掲げられている。

同市はさらに、気候シェルターを探せるオンラインマップも作成し、多くの人に情報が行き渡るよう努めている。

気候シェルターは特に、乳幼児、高齢者、慢性疾患を持つ人、ホームレスの人など、暑さの影響を受けやすい人たちに利用してもらうために設置されている。同市は、スマートフォンを持っていない人にも気候シェルターを知ってもらうため、パンフレットを配布する計画を立てている。

気候シェルターは例年、6月中旬から9月中旬にかけて利用できる。屋内施設の場合は、開館時間内にだけ利用できる仕組みだが、特に気温が高い時間帯に涼めるのは大きな助けになるだろう。

2021年時点で、市民の37.5%が自宅から歩いて5分以内、87.6%が10分以内で気候シェルターに着く状況になったという。同市は2030年までに、すべての市民が自宅から歩いて5分以内に、気候シェルターに着けるようにしたいと考えている。

日本も梅雨が明ければ夏本番を迎えるが、あなたが暮らす地域の暑さ対策は十分だろうか。気候変動が進む昨今、気候シェルターのような場所の重要性は増していくのではないかと感じる。

※1 Heatwaves(WHO)
【参照サイト】155 climate shelters all around the city to beat the heat | Info Barcelona | Barcelona City Council
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