水不足のスペインで作られた、4分しばりの「シャワー専用」プレイリスト

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気候変動が深刻化し、地球沸騰時代と言われている現代。世界各地で猛暑が記録されるだけではなく、豪雨の被害を受ける地域がある一方で、長期間雨が降らず干ばつが続いている地域もある。

筆者が住むスペインでは、深刻な干ばつが続いている。スペインにおける昨年9月からの降水量は過去30年の平均と比べて17%低い(※1)。水不足の影響からビーチでのシャワーが禁止になったり、公園などの噴水が停止したり、日常の中でもその変化が見えるようになってきた。さらに、バルセロナを含む23の都市では干ばつの影響で、海水淡水化と浄水のコストが上昇しているため、水道料金の値上げを発表しており、生活にも影響が出ている。

このような状況の中、個人が手軽にできるアクションの一つは節水を心がけることだろう。水の出しっぱなしに注意したり、節水モードのある家電を使用したり、少しずつできることはあるが、気づかないうちに必要以上の水を使ってしまっていることもある。

そんな中、スペインに拠点を置くバルセロ・ホテル・グループは、宿泊客がシャワー中の水の使い過ぎに注意できるよう、“シャワー専用”のプレイリストとして 「Song 4 Showering」をSpotifyで公開している。世界保健機関(WHO)が1日あたりのシャワー時間を5分以内に推奨していることから、4分前後の曲だけを集めたプレイリストを準備しているのだ。

宿泊客は、ホテルのシャワールームに設置されたQRコードをスキャンすると、プレイリストにアクセスできる。全世界で人気を博すイギリス出身のシンガー、ハリー・スタイルズの”Cinema”(4:03)やスペインの歌姫ロザリアの”QUE NO SALGA LA LUNA – Cap.2: Boda”(4.29)をはじめ、30曲がプレイリストには含まれている。利用にはSpotifyのアカウント登録が必要となるが、手軽に、楽しく、シャワー時間の目安を知ることができるのだ。

本プレイリストは、バルセロ・ホテル・グループの”Cuidamos de los lugares que nos hacen felices(幸せでいられる場所を守ろう) “というキャンペーンの一環で公開されており、”ReGen”と呼ばれる同社のサステナビリティ戦略に沿ったものである。環境への悪影響を軽減し、より責任を持って資源を管理することを意図して、水の効率的な利用を促している。

例えば、水道メーターを集中管理し、使用量を監視・分析できる技術ツールの導入や流量・圧力減衰器、水栓の存在センサーを設置している。また、タンクなどの断熱強化、水の再利用システム、雨水利用などにも投資しているという。

さらに同社は、従業員や宿泊客だけでなく、ゲームやワークショップを通じて子どもたちにも環境を意識した行動を促すさまざまな意識向上プログラムを開発している。

節水をはじめとしたアクションは、大切だとわかっていても、我慢ばかりしていては続かない。このプレイリストで新しい曲に出会ったり、自分のお気に入りの曲の中から4分前後の曲を探してみたり、楽しみながら継続していくことがとても大切だ。

※1 Barcelona raises water bills due to long-running drought

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【参考サイト】Barceló Hotel Group crea una lista musical en Spotify para promover duchas cortas y evitar el gasto de agua

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