夜間の安全な交通のために欠かせない街灯。街灯の節電を進めるには、どうすればいいだろうか。
人通りがないときに少し暗く点灯する調光機能付きの街灯や、太陽エネルギーを電気に変換する街灯は、すでにある。では、街灯を、自ら発光する別のものに置き換えるアイデアはどうだろうか。
エジプトのカイロ・アメリカン大学は2022年6月、建設工学を学ぶ4人の学部生が、自ら発光するコンクリートを開発したと発表した。日中に太陽光を吸収し、夜になると発光する仕組みだ。
現地で調達できる材料を使うことにこだわり、候補に挙がった複数の材料がどの程度発光するかや、通常のコンクリートの性質にどのような影響を及ぼすかを調べたそうだ。
学生の一人であるザイナブ・マフムード氏によると、研究を始めたきっかけは、「コンクリートが環境に悪影響を与えている」という批判があることを知り、「重要な建設材料であるコンクリートを、より環境に優しいものにしたい」と思ったことだったという。
コンクリートは、製造時のCO2排出量が多いといった課題が指摘されているが、一側面から見れば環境負荷が大きくても、別の側面から見れば環境問題の解決に貢献することがあるのではないだろうか。マフムード氏らの、柔軟な発想を見習いたい。
実は、2022年のCOP27(国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議)は、11月にエジプトで開催される。そんな同国の学生の間で、サステナビリティの考え方が浸透していることが喜ばしい。
【参照サイト】AUC Construction Engineering Team Develops Glow-in-the-Dark Concrete | The American University in Cairo
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