ネット・ゼロ・エネルギーの大学キャンパスとは?シンガポール国立大学のグリーンな再開発

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マレー半島のジョホール海峡を挟んだ南端にぽつんと浮かぶ島からなるシンガポール。地理、歴史的背景ともに独特な成り立ちをした都市国家で、土地や資源が限られているなかでもテクノロジー活用など先進的な取り組みを次々に打ち出している。

環境保全への取り組みも盛んで、2019年はゼロウェイスト国家を目指すことを発表した。今回は、そんなシンガポール国内にあるネット・ゼロ・エネルギー・ビル(以下、ZEB)の大学施設をご紹介したい。シンガポール国立大学のデザイン・環境学部の施設だ。ZEBとは、省エネと創エネ(エネルギーを作り出すこと)によって施設内で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにする建物のこと。

シンガポール政府が所有しインフラや都市開発のコンサルティングを行うSurbana Jurongと建築設計事務のSerie Architects、Multiply Architectsによって設計された6階建ての施設。2019年1月に国内初のZEBとして完成以来、人々のインスピレーションの場となっている。

シンガポール南部の海岸線近くの丘の上にあるこの建物は、キャンパスの再開発に合わせて、ZEB基準を厳格に満たすよう設計された。1,200を超えるソーラーパネルが屋根に設置され、この地域の熱帯気候でも自然に涼しく過ごす工夫もされている。

エアコンに大きく依存する密閉環境をつくるかわりに、自然の多いキャンパスに向けて開放された部屋で空気の循環を促し、冷却が必要な部屋だけは、天井に取り付けられたファンと、冷たい空気を室内に提供するハイブリッド・クーリング・システムを組み合わせて暑さ対策をしているのだ。

多くの在来種からなるパレット植栽、雨水排水の自然浄化システムを持つ庭があるなど、「自然との共存」も教育カリキュラムの一部になっている。

シンガポール国立大学

デザイン・環境学部には、1500平方メートルを超えるデザインスタジオスペース、公共ソーシャルスペース、ワークショップルーム、研究センター、カフェ、図書館などがある。各部屋は、さまざまな用途に合わせてレイアウトできる柔軟性を備えた設計になっている。

知恵を絞り自然と調和し、国内初のZEBとなったシンガポール国立大学。日本でもZEBのますますの普及が望まれる。

【参照サイト】NUS launches Singapore’s first new-build net-zero energy building
【参照サイト】NUS opens first net-zero energy building