周囲にテキパキと指示を出し、皆を引っ張ってリーダーシップを発揮する。そんな男性を、人は「自信に満ちている(assertive)」と表現する。しかし、それが女性ならどうだろう。「威張りたがり(bossy)」──同じ特性を持っていても、ネガティブな響きのする言葉で形容されてしまいがちである。
2023年3月8日の国際女性デー、そんな現実に着目し、意識せずに使用しているジェンダーバイアスのかかった言葉に目を向けさせる新しい広告が発表された。
ポスター広告には、同じ特性を持つ人のことを形容する2つの言葉が並ぶ。例えば、確固たる意志を持ちやる気のある男性が「野心的、意欲的(Ambitious)」と表現される一方、同じ特徴を持つ女性の場合は「強引、押しつけがましい(Pushy)」とされる。他にも男性なら「情熱的(Passionate)」と呼ばれるのに、女性は「感情的(Hysterical)」と呼ばれたり、性的に大胆な男性が「遊び人(Players)」と呼ばれるのに対し、女性は「だらしのない女、売春婦(Sluts)」と呼ばれたりする。
このように私たちは、無意識のうちに人を男女のバイアスにかけ、ダブルスタンダードで判断してしまっているのだ。
キャンペーンを主導したCPB Londonの調査によると、イギリス人男性の5人に1人は、性差別的な言葉を使うことは決して問題ではないと考えているという(※)。
CPB LondonのCEOであるHelen James氏はCREATIVE BOOMに、「私たちのリサーチは、言葉がネガティブなステレオタイプや女性への性差別的な態度を永続させるために使われる可能性があり、実際に使われてきたことを明らかにしています。このキャンペーンを通して、無視できない方法でダブルスタンダードを呼びかけ、この問題に真っ向から向き合いたいと思っています。ラベルの間に視覚的なコントラストをつけることで、私たちは人々に言葉を変え、ナラティブを変えるように求めているのです。」
と述べている。
今回のキャンペーンを中心的に展開したCPB Londonは、2022年に「社長と聞いて思い浮かべるのは男性?女性?」と問いかけるポスターキャンペーンを実施し、反響を集めていた。
ポスターを見て、はっとする。自分のなかの小さな差別感情に気づくことは、決して居心地の良いものではない。だが、自分の大切な人が誰にも傷つけられずに笑って過ごせる世の中を作るために、私たちはこの「心地悪さ」を大切に抱きしめていかなければならないのだろう。
※ Change the words to change the narrative
【参照サイト】Change the words to change the narrative
【参照サイト】New posters by CPB London highlight the sexist double standards in the words we use(CREATIVE BOOM)