男性なら「情熱的」、女性なら「ヒステリック」?無意識の言葉選びを考えるキャンペーン

2023.03.20

周囲にテキパキと指示を出し、皆を引っ張ってリーダーシップを発揮する。そんな男性を、人は「自信に満ちている(assertive)」と表現する。しかし、それが女性ならどうだろう。「威張りたがり(bossy)」──同じ特性を持っていても、ネガティブな響きのする言葉で形容されてしまいがちである。

2023年3月8日の国際女性デー、そんな現実に着目し、意識せずに使用しているジェンダーバイアスのかかった言葉に目を向けさせる新しい広告が発表された。

ポスター広告には、同じ特性を持つ人のことを形容する2つの言葉が並ぶ。例えば、確固たる意志を持ちやる気のある男性が「野心的、意欲的(Ambitious)」と表現される一方、同じ特徴を持つ女性の場合は「強引、押しつけがましい(Pushy)」とされる。他にも男性なら「情熱的(Passionate)」と呼ばれるのに、女性は「感情的(Hysterical)」と呼ばれたり、性的に大胆な男性が「遊び人(Players)」と呼ばれるのに対し、女性は「だらしのない女、売春婦(Sluts)」と呼ばれたりする。

このように私たちは、無意識のうちに人を男女のバイアスにかけ、ダブルスタンダードで判断してしまっているのだ。

ダブルスタンダード・キャンペーン

Image via CPB London

キャンペーンを主導したCPB Londonの調査によると、イギリス人男性の5人に1人は、性差別的な言葉を使うことは決して問題ではないと考えているという(※)

CPB LondonのCEOであるHelen James氏はCREATIVE BOOMに、「私たちのリサーチは、言葉がネガティブなステレオタイプや女性への性差別的な態度を永続させるために使われる可能性があり、実際に使われてきたことを明らかにしています。このキャンペーンを通して、無視できない方法でダブルスタンダードを呼びかけ、この問題に真っ向から向き合いたいと思っています。ラベルの間に視覚的なコントラストをつけることで、私たちは人々に言葉を変え、ナラティブを変えるように求めているのです。」と述べている。

今回のキャンペーンを中心的に展開したCPB Londonは、2022年に「社長と聞いて思い浮かべるのは男性?女性?」と問いかけるポスターキャンペーンを実施し、反響を集めていた。

「社長」と聞いて思い浮かべるのは?無意識のジェンダーバイアスを問うロンドンの広告

ポスターを見て、はっとする。自分のなかの小さな差別感情に気づくことは、決して居心地の良いものではない。だが、自分の大切な人が誰にも傷つけられずに笑って過ごせる世の中を作るために、私たちはこの「心地悪さ」を大切に抱きしめていかなければならないのだろう。

※ Change the words to change the narrative

【参照サイト】Change the words to change the narrative
【参照サイト】New posters by CPB London highlight the sexist double standards in the words we use(CREATIVE BOOM)

この記事を書いたライター

大学ではメディア文化を専攻し、政治、広告からおもちゃ、ファッションまで幅広い題材を通して意味の形成過程やモノの見方について学ぶ。入社後は、IDEAS FOR GOODでの編集・ライティングに従事し、発達障害やうつの方のためのビジネススクール「キズキビジネスカレッジ」との共同ライティングプログラムの立ち上げにも携わる。そのほか、企業のオウンドメディア運営支援や展示企画などを担当。関心テーマは多様性、とくにニューロダイバーシティ。ハッとする言葉や考え方との出逢いは、人をしなやかに変えてくれると信じており、新しいアイデアや発想の仕方、それを届ける多様な表現に触れるのが好き。目標は、言葉の力で、誰かの心を「紙1枚分」軽くすること。