地球温暖化や異常気象など、世界各地で見られる気候危機。ニュースやSNSでの情報拡散により、その現状を知る機会は大きく広がっている。
一方で、ネガティブな情報に触れ続けることで将来に不安を抱いたり、ストレスを感じたりした経験はないだろうか。自然環境を大切にしたいという前向きな思いがあっても、それ以上に恐怖や不安が大きくなり、自分には何もできないのだと感じてしまう人も少なくないだろう。こうした感情は気候不安とも呼ばれ、私たちの心に大きな影響を与えると言われている。
こうした個人が抱える不安やストレス、もしくは愛情といった感情に、手紙を通して向き合うプロジェクトが「Letters to the Earth」だ。このプロジェクトで必要なことは、地球に宛てて、自分の不安や希望を表現した手紙を書くことだけ。
2019年にイギリスで始まったこの取り組みは世界中に広がり、これまでに3歳の子どもから教師、ミュージシャン、先住民族、政治家、ビジネスリーダーまで、さまざまな立場・世代の人々から何千通もの手紙が寄せられた。
地球への手紙は文章だけでなく、ビデオや写真、歌、絵なども含まれ、それらは#LettersToTheEarthというハッシュタグを合言葉にSNSで発信されている。また、ホームページから手紙を提出してプロジェクトで活用してもらうこともできる。
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2022年に開催されたCOP27においてLetters to the Earthは、気候変動と紛争から逃れフランス・カレーで暮す人々からの手紙を預かり、彼らの声を届ける役割を担った。手紙を通して、気候変動の影響を受けている人々と一個人として繋がりを感じてもらいたいと考えたそうだ。まさに人と人のやり取りである手紙にぴったりな役割であっただろう。
世界の危機的な状況に、私たち個人はどう対応できるのか。手紙を書くという少しゆっくりとした時間を持つことによって、不安な気持ちを受け止め、自分自身の願いや希望にも気付くことができるかもしれない。
Letters to the Earthは、団体に寄せられた手紙をSNSにて公開している。遠く離れた場所で暮らす人々が自分と同じことを考えている、または全く違う感じ方をしているなど、きっと出会いや発見があるだろう。地球への手紙を書いたあとには、ぜひ一度世界中の声に耳を傾けてみてほしい。
【参照サイト】Letters to the Earth