フランスの首都パリを流れるセーヌ川。2024年7月に行われるパリオリンピックの開会式では、選手たちがセーヌ川でパレードを行うという。
開会式への期待が膨らむなか、地元商店の立ち退きをめぐり、一部で議論も巻き起こっている。
セーヌ川沿いには、「ブキニスト」と呼ばれる、屋台のような古書店が数多く並んでおり、パリの「風物詩」として市民や観光客に親しまれている。2023年7月、パリ警察がこれらブキニストに対し、開会式のときに一時的に立ち退くよう求めた。川沿いに集まる観客の、安全の確保のためだという。
これに対して、ブキニストの店主たちは、「立ち退くつもりはない」と抗議。「セーヌ川の管理者から、私たちが観客の視界を遮る可能性があると説明された」という声も上がっている。昔からこの場所で古書店を営んできた人々は、「なぜ私たちをパリの風景から消そうとするのか。他の方法があるはずだ」と不満を抱いているという。
仏セーヌ川の古書店、五輪で一時立ち退き要請も拒否
「われわれはパリの重要な象徴だ。450年前からここにいる」と話すのはパリ古書組合のトップ、ジェローム・カレーさん。「五輪の祝典はパリの祝典であるべきなのに、われわれをその風景から消そうとするのはおかしな話だ」。映像は7月29日に撮影。 pic.twitter.com/rc3ows8btA
— AFPBB News (@afpbbcom) August 3, 2023
TheMayor.EUの記事では、「ブキニストは、開会式がきっかけとなり、川沿いからずっと立ち退かされるかもしれないと懸念しているのではないか」という見解も示されている。
パリ市は、開会式での安全確保の必要性を説明すると同時に、ブキニストという文化遺産を守る重要性も認識しているという。2023年8月3日に更新された記事では、市が開会式の終了後、古書店をすみやかに元の場所に戻すことを説明。移動などにかかる費用を負担することも、提案したそうだ。
市は、オリンピック期間中にセーヌ川の近くに、「ブキニストの村」を設けることも提案。観光客を迎えることで、ブキニストも、メリットを享受できる可能性があることを説明している。
「広く開かれた大会」というスローガンを掲げる、2024年パリオリンピック。できる限り多くの地域住民に歓迎される大会になることを願う。
【参照サイト】Cérémonie d’ouverture des Jeux : les bouquinistes – Ville de Paris
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