社会をもっとよくする世界のアイデアマガジン、IDEAS FOR GOODの編集部が選ぶ、今月の「ちょっと心が明るくなる世界のグッドニュース」。前回の記事では、パリのノートルダム大聖堂の再建が大きく前進していることや、たった5分でも犬と触れ合うことが心身の健康状態を良くすることを紹介した。
日々飛び交う悲しいニュースや、不安になる情報、ネガティブな感情ばかりを生む議論に疲れたあなたに。世界では同じくらい良いこともたくさん起こっているという事実に少しのあいだ心を癒し、また明日から動き出そうと思える活力になれば幸いだ。
愛に溢れた世界のグッドニュース5選
01. オーストラリアで「コアラの楽園」の森林伐採が禁止に
オーストラリアのニューサウスウェールズ州が、新たにコアラの生息地帯の森林伐採を禁止する。今回対象となるのは、「グレート・コアラ・ナショナル・パーク」内で野生のコアラが最も多く集まることで知られる森林8,400ヘクタール(2万1,000エーカー)部分である。
同州の声明によると、今回の取り組みは環境保護と、持続可能な木材産業と雇用を維持する計画のバランスを取るものだという。生息地をしっかりと保護し、野生のコアラがこれからも生き残ることができるような一歩となりそうだ。
【参照サイト】Australia bans logging in proposed koala sanctuary to save local population
02. アメリカ、ほぼすべての郡で再エネ雇用増大
米国エネルギー省(DOE)の最新の発表では、2021年から2022年にかけて、米国の郡の95%でエネルギー雇用が増加したことが分かった。これは、バイデン政権のもと気候変動に関する野心的な目標を掲げる米国で、地域レベルでのクリーンエネルギーに関する仕事が増えていることも意味する。
脱炭素をすすめる社会で、これまでの仕事を失う人が出てくることが問題視される今。このニュースは、一部においては「公正な移行」がしっかり行われていることを示す例となるだろう。
【参照サイト】U.S. Energy Jobs Have Increased In Nearly Every County
03. メキシコ、初の女性大統領誕生へ
メキシコでは、初の女性大統領が誕生することがほぼ確実となっている。2024年の大統領選に向けて、与党のモレナ党(国民再生運動)は前メキシコ市長のクラウディア・シェインバウム氏、そして野党連合は上院議員ソチル・ガルベス氏と、共に女性を候補者に選んでいることからだ。
メキシコのジェンダーギャップ指数は、世界33位。もちろん、大切なのは性別だけでなく大統領として何に取り組むかだが、議員の女性比率や働き方が争点となる日本では、別の国で新たな女性のリーダー・ロールモデルが生まれていることはインスピレーションとなる可能性がある。
【参照サイト】Mexico set for first female president in 2024 election
04. 肥満を防ぐのはカニの殻だった?
セントルイス・ワシントン大学医学部が発表した新たな研究によると、カニなどの甲殻類やクモ、その他の昆虫の殻の主成分であるキチンが、肥満の治療に有効であることがわかった。実験では、キチンを摂取することで、脳の運動コントロールが改善され、より効率的にエネルギーが消費されたというのだ。
マウスでの実験が終わり、今後は人体でもこれが実証されていくという。これからの研究により、この技術の臨床的な応用がさらに検討されたら、肥満の治療への新たなアプローチとなるかもしれない。
【参照サイト】Fiber from crustaceans, insects, mushrooms promotes digestion
05. 決着がつかなかった女子棒高跳び選手、金メダルを分け合う
ブダペスト2023世界陸上競技選手権大会で、二人の選手が金メダルを分け合い、スポーツマンシップ精神をあらわした。オーストラリアのニーナ・ケネディ選手とアメリカのケイティ・ムーン選手だ。
二人は通常のラウンドで対戦したあと、世界陸上選手権でもタイブレークの3ラウンドにわたって戦いを続けたが、二人とも4.90メートルのバーをわずかに超えた成績で、最終的な決着が付かなかったのだ。その結果、金メダルを分け合うことに二人とも同意。こういった出来事は、競技スポーツの中では珍しく、協力と公平さの素晴らしい事例だと報道されている。
【参照サイト】Kennedy and Moon share the pole vault gold 🥹 | World Athletics Championships Budapest 23