【2024年10月】バーガーを「1種類」しか置かない店が、投票を促す?グッドニュース5選

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社会をもっとよくする世界のアイデアマガジン、IDEAS FOR GOODの編集部が選ぶ、今月の「ちょっと心が明るくなる世界のグッドニュース」。前回の記事では、スウェーデンの「ダサい芝生」コンペや、下半身不随になったシェフを救った椅子の話題などを紹介した。

日々飛び交う悲しいニュースや、不安になる情報、ネガティブな感情ばかりを生む議論に疲れたあなたに。世界では同じくらい良いこともたくさん起こっているという事実に少しのあいだ心を癒し、また明日から動き出そうと思える活力になれば幸いだ。

愛に溢れた世界のグッドニュース5選

01. バーガーキングが「ワッパーだけのメニュー」で投票を促す

「ハンバーガーが食べたい」と思ってメニューを開いたとき、もしメニューの選択肢が1種類しかなかったらどう感じるだろうか。「違うバーガーが食べたかったのに」「ナゲットとポテトも欲しいのに」と不満の声があがりそうだ。そんなことが、実際に起きたという。

オーストリアのバーガーキングで、メニューがワッパーだけになったのだ。動画では多くの客が驚き、立ち尽くしたり、呆れたように「この店はどうしちゃったの?」と問いかけたりしている。実はこの企画、9月末に選挙を控えていた同国で「選択肢があることの重要性」を訴えかけるためのキャンペーンであった。

誰もが、社会の代表を、複数の候補から選ぶことができる──それは決して当たり前のことではないのだ。とはいえ、このメッセージをハンバーガーで伝えるとは、思いもよらないアイデアだったのではないだろうか。

【参照サイト】Burger King leaves customers with only one choice to remind them of the importance of voting

02. イギリスで石炭火力発電が完全廃止に

イギリスにとって、2024年9月30日は歴史的な日となったに違いない。石油火力発電から完全に撤退したのだ。同国ではラトクリフ・オン・ソア発電所が最後の石炭発電所として稼働していたが、1967年からの長い運転を経て、この日ついに停止することとなった。

近年、再生可能エネルギーの普及にも力を注いできたイギリス。2035年までに全ての電力を再エネで賄うことを目指している。石炭火力発電発祥の国が踏み出した新たな一歩は、石炭火力に頼らない、より環境負荷の低い社会経済に向けた大きな一歩となるはずだ。

【参照サイト】イギリスが石炭火力発電を廃止 産業革命以来142年の歴史に幕
【参照サイト】ジョンソン英首相、「2035年までに全電力を再生可能エネルギーでまかなう」

03. 女の子が市役所に届けた遊具の絵が現実に

公園で長く時間を過ごし、遊具に実際に触れるのは、子どもたちだ。それならば、大人よりも子どもたちの方が公園のデザインを考えるのに適しているのかもしれない。

米国ユタ州に住む12歳のRosili Olsonさんは昨年、妹がより安全に遊べるための遊具のデザインを考え、絵に書き起こし、母親を説得して市役所まで行ってその絵を届けていた。すると、その遊具を実際に建設することが決まったのだ。

それから1年も経たないうちに、遊具は完成。Rosiliさんは遊具のお披露目となるリボンカットに出席し「想像していたよりもずっと良い」とコメントした。子どもがデザインする遊び場が広まれば、笑顔の輪はさらに大きくなるだろう。子どもたちの主体性をも育む取り組みになりそうだ。

【参照サイト】Ribbon cut on Clearfield playground made possible by a child’s designs, advocacy
【参照サイト】11-Year-Old Girl Drew a Playground and Asked City Hall to Build It, So the City Did: ‘Even Better Than I Imagined’

04. 盗み食いをするウサギが農園の整備に貢献

農家が抱える悩みの一つが、獣害による被害だ。山の生態系が崩れたことで、サルやイノシシなどが人里に降りてきて農作物を荒らしてしまうニュースを度々耳にする。

しかし、北海道の美瑛にあるブルーベリー農場では、そんな“盗み食い”をする動物がむしろ喜んで受け入れられている。その正体は、野生のエゾユキウサギ。彼らが地面に近く泥がついて出荷できない実を食べることで、熟した実にハチが寄ってくるのを防ぐという。さらに雑草を食べて、フンを通して栄養も与えてくれる。

そんな背景から、ウサギたちは追い払われることなく、この農園で共生しているのだ。自然な循環型とは、こういう姿を指すのかもしれない。

【参照サイト】“野生のウサギ”がブルーベリーを盗み食い…追い払わない理由とは 北の大地で育まれる“循環” 北海道「びえいハスカップファーム」

05. 米国でサブスクのキャンセルを簡単にさせるルールが決定

今登録しているサブスクリプションや有料メンバーシップの中に、キャンセル・退会しようとしたものの手続きが難しくて諦めたものはないだろうか。登録は非常に簡単である一方で、退会となるとボタンが見当たらなかったり、わざわざ電話しなくてはいけなかったりと、“お金を払わせ続ける”ためのトラップに直面することがある。

こうした状況に、米国の連邦公正委員会が一手を講じた。サービス提供者に対して、退会の手続きを登録と同様に簡単にすることを要求する「“Click-to-Cancel”ルール」の最終決定に至ったのだ。この方針が発表された2024年10月18日から180日後を目安に有効になる予定だ。

消費者には、購入を通じて商品やサービスの需要を表現することはできても、サブスクの退会方法について決める力はない。企業が優位に立つポイントに、行政が介入することに成功した良い事例となりそうだ。

【参照サイト】The federal government just made it much easier to cancel your gym membership
【参照サイト】Federal Trade Commission Announces Final “Click-to-Cancel” Rule Making It Easier for Consumers to End Recurring Subscriptions and Memberships

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