社会をもっとよくする世界のアイデアマガジン、IDEAS FOR GOODの編集部が選ぶ、今月の「ちょっと心が明るくなる世界のグッドニュース」。前回の記事では、真のファンにチケットを届けるための転売対策などを紹介した。
日々飛び交う悲しいニュースや、不安になる情報、ネガティブな感情ばかりを生む議論に疲れたあなたに。世界では同じくらい良いこともたくさん起こっているという事実に少しのあいだ心を癒し、また明日から動き出そうと思える活力になれば幸いだ。
愛に溢れた世界のグッドニュース5選
01.石油の広告を禁止した街、イタリア・フィレンツェ
ふと目に入る広告は、私たちの意思決定に大きく影響する。そして、私たち一人ひとりの選択は、街の未来を変えていくことになる。
2026年2月、フィレンツェ市議会は、市が所有する公共スペースにおける化石燃料関連広告を禁止する決議を採択した。対象には石油・ガス企業の広告に加え、ガソリン車や航空機、クルーズ船など、化石燃料を大量に消費するサービスの広告も含まれる。これはイタリア国内で初めての決議であり、現在は施行に向けた制度設計が進められている段階にある。
欧州ではすでにアムステルダムなどが同様の取り組みを始めており、フィレンツェもその流れに加わった形だ。
気候変動対策は政策や技術だけの問題ではない。「何を目にするか」という日常の景色から変えるこの試みは、市民の価値観を少しずつ問い直すこととなるだろう。
【参照サイト】Florence Makes History with 1st Fossil Ad Ban in Italy
02.保護ねこをつなぐ輪。地域で広がる譲渡の取り組み
2025年の夏、長野市で起きた、ねこの多頭飼育崩壊。これにより、39匹が市の保健所に収容されることとなった。一匹、また一匹と引き取られていく中で、最後に残ったのがオスねこの「マツ」だ。
マツは、人懐っこい性格だが、完治の難しい疾患を抱えており、なかなか引き取り手が見つからなかったという。そんななか、保健所のSNS発信を見て「先代の実家のねこにそっくり」「この子を迎えたい」と20代の夫婦がやってきた。こうして最後の1匹・マツが新しい家族に迎えられたことで、保健所の収容頭数が17年ぶりにゼロとなったのだ。
里親の2人は、医療費が高額になるであろうことを承知しつつ、それでも一緒に過ごしたい、ともにご飯を食べたり寝たり、たくさん抱っこしてあげたりしたい、と語る。
やはり、ねこの鳴き声は保健所ではなく、あたたかな家族の笑い声とともにあるべきなのだろう。
【参照サイト】保護猫39匹の“最後の1匹”譲渡 17年ぶり保健所の収容の犬猫「ゼロ」に 職員がSNS投稿…縁つなぐ 長野市で多頭飼育崩壊…推定10歳「マツ」が千葉県の20代夫婦の家族に
03.アマゾンの森林破壊速度、2014年以来過去最低ペース
「地球の肺」と呼ばれるアマゾン熱帯雨林は、長年にわたり森林破壊のニュースで注目されてきた。しかし近年、その流れに変化が見られ始めている。
国立宇宙研究所(INPE)などの衛星データによれば、アマゾンにおける森林破壊の進行速度は低下傾向にある。2025年8月から2026年1月にかけての期間では、過去数年の同時期と比較して低い水準が記録。環境保護政策の強化や違法伐採への取り締まりの成果が、一定程度反映されているとみられる。
もちろん、依然として火災や乾燥、違法開発といった課題は残っている。それでも、政策と市民社会の意志が具体的な数値の変化として現れ始めていることは確かだ。
【参照サイト】Áreas sob alerta de desmatamento caem 35% na Amazônia e 6% no Cerrado, apontam dados do Deter
04.オーストラリアで先住民の言語を学べるデジタルゲームが開発
言葉が失われることは、単なるコミュニケーション手段の消失ではない。そこに宿る文化や歴史、土地との結びつきが断ち切られることを意味する。言語を守ることは、アイデンティティを守ることでもあるのだ。
オーストラリアでは、先住民族アボリジナルの人々の言語を学べるデジタルゲームが開発された。これは、プレイヤーがゲーム内で物語を追いながら、音声やビジュアルを通じて発音や意味を学び、自然な形で語彙を身につけていくというもの。外部の開発者が一方的に制作したのではなく、実際に言語を話すコミュニティと協働しながら設計されているのが特徴だ。
テクノロジーは文化を均質化する道具にもなり得るが、同時に多様性を守る器にもなり得る──そう思わせてくれる事例である。
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【参照サイト】Game designed to save dying Aboriginal language wins global awards
05.「空気を使わない」次世代タイヤの可能性
高齢化や人口減少が進む地域では、移動の維持そのものが大きな課題になっている。路線バスの縮小やドライバー不足、整備人員の減少──移動はもはや当たり前ではなくなりつつあるのだ。
そんななか、ブリヂストンは「AirFree™(エアフリー)」と呼ばれる、空気を充填しない構造を持つ次世代タイヤ技術の開発を進めている。
タイヤの空気点検やパンク修理は、安全確保に欠かせない一方で、現場にとっては負担の大きい業務でもある。整備を担う人材が限られる地域では、その負担が運行停止や対応遅延につながることもある。空気圧管理が不要になれば、日常点検の工程は簡素化され、車両トラブルのリスクも抑えられる可能性がある。
【参照サイト】空気を不要にするブリヂストンの次世代タイヤ「AirFree®」


























