手話で伝え合う、恋愛リアリティ番組。グッドニュース5選【2026年5月前半】

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社会をもっとよくする世界のアイデアマガジン、IDEAS FOR GOODの編集部が選ぶ、今月の「ちょっと心が明るくなる世界のグッドニュース」。前回の記事では、優しい人だけが泊まれるスイートルームや、かつて本だったピクニックシートなどを紹介した。

日々飛び交う悲しいニュースや、不安になる情報、ネガティブな感情ばかりを生む議論に疲れたあなたに。世界では同じくらい良いこともたくさん起こっているという事実に少しのあいだ心を癒し、また明日から動き出そうと思える活力になれば幸いだ。

愛に溢れた世界のグッドニュース5選

01.手話で進行する、新しい恋愛リアリティ番組

恋愛リアリティ番組で交わされる、ときにロマンチックで、ときにもどかしい言葉のやりとり。そのひとつひとつが、声ではなく手話を中心に描かれたとしたらどうだろう。

英国で、全編を英国手話(BSL)で進行するリアリティ・デート番組『Hold My Hand』が配信されている。番組を手がけるのは、聴覚障害者や手話コミュニティに焦点を当てたテレビ番組を制作・放送するプラットフォーム・Lumo TVだ。司会を務めるのは、聴覚障害のある双子のハーモンとハーモダ。出演者は、ろう者の親を持つ人々、いわゆるCODAである。

番組では、出演者たちが現代の恋愛における期待や戸惑い、すれ違いを、BSLを通じて乗り越えていく姿を追う。聴覚障害者の文化、言語、そしてコミュニティの実体験を主軸に据えることで、恋愛番組やリアリティ番組における「表現」「多様性」「包摂」のあり方を問い直している。

インクルーシブな番組づくりとは、既存の番組に字幕や通訳を足すことだけではない。誰の言語を中心に据えるのか、誰の経験を物語の出発点にするのか。その設計自体を変えることでもある。『Hold My Hand』は、ろう者や手話コミュニティの視点から恋愛リアリティ番組をつくることで、アクセシビリティを「後から加える配慮」ではなく、表現を豊かにする力として示している。

【参照サイト】The new UK television dating show boosting deaf representation

02.スマホの電波を遮断する、キットカットの“休憩用パッケージ”

「休もうよ」と言われても、スマホの通知が鳴り続けていたら?私たちは本当に休めていると言えるのだろうか。

「Have a break」というブランドメッセージで知られるキットカットは、パッケージを使って通知に邪魔されない休憩時間をつくろうとしている。キットカット・パナマとOgilvy Colombiaは「Break Mode」というキャンペーンで、スマホの通知を遮断できるキットカットのパッケージをつくったのだ。

これはスマホを入れると、通話、インターネット、Bluetooth、GPSなどの信号を遮断するというもの。単なる「休憩しよう」というメッセージにとどまらず、チョコレートの包装そのものを、デジタル・ウェルビーイングの道具に変えたのだ。

便利さの裏側で、私たちの注意は絶えず奪われている。だからこそ、休むことを「個人の意志」だけに任せるのではなく、環境やプロダクトの設計によって支える発想が求められている。小さな菓子の包装が、つながりすぎる時代の“余白”を取り戻すヒントになるかもしれない。

【参照サイト】KitKat crée un emballage qui bloque les notifications pour une vraie pause

03.Z世代の新しい趣味に?英国で広がるバードウォッチング

スマホの画面から少し目を離し、空を見上げる。そこにいる一羽の鳥が、若い世代にとっての新しい“推し”になりつつあるのかもしれない。

英国で、Z世代を中心にバードウォッチング人気が高まっている。The Guardianによると、RSPBが公表したFifty5Blueの調査では、英国の16〜29歳のうち約75万人が定期的にバードウォッチングを楽しんでおり、2018年から1,088%増加したという。全世代でも、バードウォッチングを趣味とする人は同期間で47%増えたとされる。

RSPBの関係者は、鳥を見ることは知識の多寡にかかわらず始められ、外に出て、緑地を見つけ、ゆっくりするきっかけになると話している。双眼鏡を手にすることは、専門的な趣味への入り口であると同時に、身近な自然に目を向けるための小さなスイッチにもなっている。

気候危機や生物多様性の損失が語られる時代に、自然との関係は単に「守らなければならないもの」だけでなくなってきている。鳥の声に耳を澄ませる小さな習慣は、自然と私たちが「関係を結びなおす」きっかけとなるのかもしれない。

【参照サイト】Gen Z leads birdwatching boom as more Britons reach for the binoculars

04.肉球スタンプで、子どもの日焼け止めを楽しい習慣に

子どもの肌は大人より薄く、紫外線の影響を受けやすいとされる。さらに、地面からの照り返しの影響も受けやすく、外遊びの時間には日焼け対策が欠かせない。一方で、日焼け止めを塗られるのを嫌がる子どもも少なくない。

花王の「ビオレUV キッズスタンプUV」は、押すと肉球の形で日焼け止めが出てくる子ども向けUVケア商品だ。SPF50・PA+++で、紫外線吸収剤、シリコーン、アルコール、着色料、香料、パラベンを使わず、せっけんで落とせる処方となっている。パッケージ内側には、紫外線対策を学べる絵本要素が仕込まれているのも楽しいポイントだ。

「肉球スタンプ」は、日焼け止めを塗る時間を「遊び」や親子のスキンシップに変えた。健康を守る行動は、ときに「正しさ」だけでは続かない。大切なのは、やらなければならないことを、やってみたくなる体験に変える設計なのだ。

【参照サイト】花王株式会社 | ビオレUV | キッズスタンプUV

肉球スタンプUV

05.学生証がそのまま図書館カードに。シカゴの学びを開く仕組み

本を借りたい、調べものをしたい、でも図書館カードをつくる手続きが壁になる。そんな小さなハードルが、学びの機会を遠ざけていることがある。

シカゴでは、公立学校の学生証をそのまま図書館カードとして使える取り組みが全市に拡大された。シカゴ公立学校(CPS)とシカゴ公共図書館(CPL)による「81 Club」は、学生が追加の登録手続きをしなくても、81カ所の図書館や600万点以上の資料にアクセスできるようにする制度である。

学生は、学校ID番号を使うだけで、申請書類の提出や追加手続きなしに、図書館の資料やオンラインリソースにアクセスできる。2022年の試行では、経済的に不利な立場にある学生の図書館利用が63%増加した。新たに電子書籍や教材にアクセスできるSoraも導入され、教育資源への障壁を下げる実践となっている。

教育格差を縮めるには、新しい施設や教材を増やすだけでなく、すでにある資源にどうアクセスしやすくするかも重要である。学生証を図書館カードに変えるというシンプルな仕組みは、「支援を届ける」のではなく、「使える状態にする」ことの力を教えてくれる。

【参照サイト】Chicago Turns All Public School IDs Into Library Cards To Boost Student Access

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