マイクロソフトが特許出願中の、より健康な食の選択を支援するARスマートグラス

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コンピューターの個人利用が始まり、今世紀に入りiPhoneに代表されるスマホが普及し始めると、次はウェアラブルの時代が来ると言われてきた。

ウェアラブルデバイスの先駆的プロダクトと言えば、グーグルが2013年に発表した、まるで「ドラゴンボール」のスカウターのようなヘッドマウントディスプレイ方式の拡張現実(AR)ウェアラブルコンピューター、「Google Glass」だ。しかし、大方の期待とは裏腹にGoogle Glassはプライバシー問題や運転中の安全性への懸念など実社会の課題を克服できず、現在は一般向けの販売を一時停止している。

一方で、仮想現実(VR)と拡張現実(AR)を掛け合わせた複合現実(MR)テクノロジーを駆使して「HoloLens(ホロレンズ)」という初の自己完結型ホログラフィックコンピューターを開発したマイクロソフトは、開発意欲がとどまることを知らず、食品の成分分析ができるARスマートグラスの特許を出願していることが分かった。

Fitbit(フィットビット)のように心拍数や睡眠等、健康状態を計測できるスマートウォッチは既に普及が進んでおり、健康に焦点をあてたウェアラブルデバイスは今後の成長分野だ。マイクロソフトは、ARグラスを通して見た食品を分析し、フィードバックすることで、人々がその食品を口にするべきか否かの判断を簡単にすることを計画している。

この拡張現実(AR)グラスは、眼球追跡技術を使用して、視覚、聴覚、場所、温度や動きを観察することで、ユーザーが見ているアイテムを特定すると、画像処理エンジンでアイテムを分析し、製造業者、レストランにより提供されたデータまたは類似のレシピに基づいて、栄養情報を引き出す。

ジェスチャー認識は、食べ始めるときにグラスの拾う音と頭の動きで、ユーザーがどの食品を選び、いつ食べ始めたか認識し、ユーザー個人の食事要件やアレルギーを基に警告も発する。一般的な栄養情報、カロリー、栄養摂取をチェックし、その日の食事の量についても助言する。その他の機能には、位置を追跡するGPSがある。レストランに入るとレビューが引き出され、そこで食事をとるべきかの参考になる。他のユーザーの過去の食事についての情報シェアも簡単で、ソーシャルの要素もある。

現代人は偏食、過剰なカロリー摂取、食品添加物といった懸念を抱えているが、食の選択は人間の本能的な部分に関わる問題でもあり、食生活の改善には食品と健康の関係についての正しい知識と日頃の強い意識づけが重要だ。このスマートグラスはARを利用して人々が買い物や食事をしているときに、体に悪い食べ物の購入や摂取を避け、人々が体に良い食事をする意思決定をできるように支援する心強いアドバイザーとなる。

ARスマートグラスを実現するためにマイクロソフトが克服しなければならない課題はハードとソフトの両面でたくさんあり、街のスーパーで人々が食物分析スマートグラスをかけて歩く姿を見かけるのはしばらく先のことになりそうだ。しかし、AR技術を利用して人々の日々の選択や意思決定をより健康なものにするという同社のアイデアは、「Tech for Good」を体現した画期的なアイデアだと言える。

【参照サイト】Wearable food nutrition feedback system
【参照サイト】Shazam for Food? Wearable Dietitians? Microsoft Patents AR/VR Glasses That Tell You What to Eat
【参照サイト】Microsoft’s concept smartglasses will warn you to step away from that burger
【参照サイト】Microsoft Secures Patent For AR Glasses That Can Tell You What To Eat

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