ホテルの仕事は最高のホスピタリティでゲストをもてなすことだが、そのおもてなしの範囲をゲストだけではなく地域コミュニティ全体にまで広げているホテルがある。それが、ロンドンに新しくできた水上ホテル「Good Hotel」だ。
すべてのビジネスは社会をよくするために成り立つべきだという思想を持つGood Groupが開発したGood Hotelは、”PREMIUM HOSPITALITY WITH A CAUSE(最高のおもてなしを大義とともに)”というキャッチコピーの通り、社会貢献をコンセプトの中心に置いている。ホテル運営により得た利益を地域に還元するだけではなく、ホテル独自のユニークなプログラムを通じて地域社会へダイレクトに貢献することを目指しているのだ。
Good Hotelの社会貢献モデルは大きく「雇用創出」「地元企業からの調達」「寄付」という3つの取り組みに分けられる。
第一の取り組みとして、Good Hotelは地元の失業者に対してホテル独自のホスピタリティ研修を実施し、研修終了後はホテル内での実地研修とフルタイム雇用の機会を与えるという雇用創出のプログラムを設けている。一定期間Good Hotelで働いた後、十分な社会復帰への準備ができた人には地元企業への就職の斡旋も行い、長期的に失業者の支援を行うというものだ。
また、第二の取り組みとしては「地元企業からの調達」が挙げられる。Good Hotelはホテル運営に必要となる食品や建築資材といった様々な資源を、従業員にしっかりとした労働環境と給与を提供している地元企業のみから調達するというポリシーを掲げている。地元の慈善団体と協力しながら地元の産業をさらに成長させるためのプラットフォームを提供することを目指している。
そして、最後の取り組みとして寄付がある。Good Hotelではホテルを利用するゲストも地域貢献ができるよう自動寄付の制度を取り入れており、Good Hotelに宿泊予約をすると1泊につき5 GBPがパートナーシップを結んでいるNGO団体へ自動的に寄付される仕組みとなっている。
ビジネスモデルの仕組みを再定義していきたいという考えから誕生した水上に浮かぶGood Hotel。スタイルッシュでミニマリズムを念頭に置いて設計されたというその新鮮でモダンなデザインから受ける印象そのままに、今後ソーシャルビジネスの分野においても新たな風を颯爽と運んでくれるスペシャルな存在となるに違いない。
【参照サイト】Good Hotel
(※画像:Good Hotelより引用)