よくよく考えてみると当たり前の話だが、シャンプーに一番多く含まれているのは水だ。試しにあるシャンプーの成分を見てみると、パーセンテージまでは出ていなかったものの、数多くの成分の中で「水」が先頭に記されていた。配合成分の多い順に表記されているため、その多さは推して知るべしだ。
同じことは洗濯用洗剤や食器用洗剤についても言える。これらの家庭で用いられる液状製品の大半は、約80%が水でできているのだ。そのことを知ったオランダのデザイナー、Mirjam de Bruijn氏は、水を除いた残りの20%の部分だけを商品として売ればいいのではないかと考えた。水は自宅で入れればよいという発想だ。
このユニークな着眼点から生まれたシャンプー、洗濯用洗剤、食器用洗剤のラインナップが「Twenty」という商品だ。商品の配合成分から水を除いているため、形状はタブレット状や粒状などすべて固体となっている。このため、商品パッケージはリサイクルの厚紙だけで事足り、プラスチックごみを減らすことができる。さらに大きなメリットは、商品を小型化できるため、輸送中のCO2排出量を格段に削減できるという点だ。80%減っているため、例えば飛行機が5台必要なところを1台にシフトできる。
購入者はシャンプーや洗剤に付いてくるボトルに水を入れて商品を溶かせば、普段店で買う液状の商品と同じように使用することができる。ボトルはもちろん使い回せる。このTwentyのアイデアはトラベルグッズにも応用できそうだ。液体物の機内持ち込み制限もクリアできるし、かさばらないため荷造りにも適している。
既存の商品の当たり前を疑い、本当に必要な部分だけを残すことで、価値を落とさぬままに環境への負荷を下げる、Mirjam de Bruijn氏のデザイン。ぜひとも広がって欲しいソーシャルグッドなアイデアだ。