世界が抱える問題の一つに、食品の大量消費、大量廃棄が挙げられる。このまま世界的な食品廃棄(以下フードロス)が増え続ければ、世界的な資源の枯渇や環境破壊、廃棄物処理ための費用増加といった問題が、より深刻化するだろう。
そんなフードロス問題を食い止めるため、ヨーロッパを筆頭に世界各地で対策プロジェクトが続々と立ち上がっている。たとえば、EU内の食品関連団体や政府、NPOらなどが連携して2025年までに食料廃棄量の半減を目指している”FUSIONS”や、イギリスの”Feeding the 5000”などだ。
美食の国として知られるスペインにも、深刻なフードロス問題に対策するための団体がある。それが、女性起業家マリア・バルバ(Maria Barba)氏を中心にカタルーニャ州で立ち上がった非営利団体「Espigoladors(エスピゴラドルス)」だ。
Espigoladorsのテーマは3つ。「食品の浪費を削減する」、「思考や行動する機会だけでなく、雇用機会を創出する」そして「食糧不足と戦うサポートを行う」だ。この実現には、同団体がフードロス対策として独自に考えた、循環型の食品回収モデルが重要ポイントとなってくる。
モデルは「1. 収集」「2. 寄付」「3. 変換・商品化」「4. 包括」という4つのカテゴリで構成されている。
「収集」は、不格好な野菜や熟しすぎた果実など消費者が購入しなくなった食材や、余剰生産によって廃棄される予定の食材をEspigoladorsが集めることだ。収集した食品廃棄物は「寄付」と「変換・商業化」の2つに選別される。
「寄付」は、収集した食品廃棄物の90%をEspigoladorsが提携する団体に送り、健康的で栄養価の高い食品を人々に届けること。
そして「変換・商品化」とは残った10%をEspigoladorsが商品に変えること。廃棄された食品はジャムやクリーム、ソースなどの食品や野菜の防腐剤へと形を変え、「Es Im-perfect」というブランド名でオンライン販売されている。
商品化の目的は、フードロス問題に関心がない人にも商品という形で興味や関心を持ってもらい、最終的には問題意識の向上と行動につなげることだ。
4つ目の「包括」は、一連のプロセスを通じてスペイン国内の若者や女性の雇用と、社会活動の機会を創出すること。具体的には、食料収集のためにボランティア活動への参画、子供から大人までがフードロス問題に対して考えられるワークショップの立ち上げなどを行っている。
Espigoladors創立者であるマリア氏は、IT・スタートアップ系メディア「innova spain」のインタビューでこのように答えている。
「生産プロセスにおいて多くの資源が使われ、廃棄されるだけでは、経済的、社会的、倫理的、そして環境的な悪影響を及ぼすだけです。私たちの目標は、この流れを変えることです。私たちは世界的な問題を解決する必要があり、少しずつさまざまなエージェントの情報と取り組みを学んでいます。まだまだ道のりがあるものの、ポジティブに歩み始めていると言えます。」
環境・健康食品のスタートアップコンテストでファイナリストにもなり、少しずつ勢いを拡大させているEspigoladors。カタルーニャ州の小さな団体が立ち向かうフードロス問題への挑戦はまだ始まったばかりだが、スペイン国内でのフードロスへの意識を変えるきっかけになりそうだ。
【参照サイト】Espigoladors
【参照サイト】Mireia Barba, cofundadora de Espigoladors