世界初。太陽光を貯めて夜でも稼働する太陽炉「CONTISOL」

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ギリシアの空気太陽分子技術研究所とドイツ宇宙センター (DLR)の研究者らが、夜も稼働できる世界初の太陽炉 「CONTISOL」を開発した。

太陽炉とは、太陽光を集めて水素などのソーラー燃料を作り出す装置のことだ。化学燃料を必要とせず、二酸化炭素も排出しないクリーンな熱源であるが、陽が沈んだ夜や曇りの日にはほとんど作動しないという欠点があった。

気温が下がると反応速度が落ちたり停止したりするため、エネルギー生産量が低下する。さらに、停止しているあいだに炉が冷却され、せっかく作りだした熱も無駄になってしまっていたのだ。

今回発表されたCONTISOLは、太陽光エネルギーを凝縮させて貯め、一日中稼働し続けることで、これらの問題を解決する太陽炉である。

夜でも稼働する太陽炉「CONTISOL」

(C)DLR

CONTISOLは、化石燃料の代わりに空気を使って熱の化学反応を起こし、水から水素を分離させることでエネルギーを生み出す。空気はどこにでもほぼ無限にあるため入手が容易で、運搬コストもかからない、とても理想的な原料だ。

研究者らは、太陽光をレシーバーに集める鏡を使い、いくつもの太陽炉で実験を行った。研究チームを率いたJustin Lapp氏は、「CONTISOLの一番重要なポイントは、太陽光が化学反応で熱となる炉と、できあがったソーラー燃料を貯める炉の2つの炉を一緒にしたことだ。」と語る。

1つの炉ではエネルギーが生成され、もう1つの炉では冷たい空気と熱い空気が循環しながらエネルギーが貯められる。この2つの炉がバランスよく動くことで炉が一定温度を保ち、水素を生み出す効率のいい熱源となる。

今回、研究チームは5キロワット、850℃で機能する小規模の模型を開発した。この小さな模型は、制御研究をするためだけに作ったものだ。これが本格的に商業化するには、最小でも1~5メガワットほどの規模が必要だという。

この研究実験はまだ初歩段階だが、開発が進めばさらに大きな規模のCONTISOLでクリーンな燃料を得られるだろう、と研究者らは考えている。温室効果ガスを排出せずに水素を生産できる、未来の100%クリーンなエネルギー源のCONTISOL。今後のさらなる研究開発が期待される。

【参照サイト】Fabrication and testing of CONTISOL: A new receiver-reactor for day andnight solar thermochemistry

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